質問 | 回答 |
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暗黒エネルギー、暗黒物質の存在はどうしてわかったのでしょうか | 元々、暗黒物質は銀河の中の星の回転速度の様子から銀河にはべったりと質量を持つものが存在すべきでは?というところから考え始められました。 特殊なタイプの超新星が遠ざかっている速度を測ったところ、遠い超新星ほど速く遠ざかっていることがわかりました。そこで、宇宙には引っ張るのではなく、引き剥がす作用をする何らかの存在がある、と考えられました。これが「暗黒エネルギー」と名付けられたのです。 さらに、米国と欧州の人工衛星が観測した「全天宇宙の温度のムラの様子」と「宇宙の形成理論」とを照合した結果、暗黒物質、暗黒エネルギーが存在する、という結果になり、その存在比率まで計算することができました。 |
原子周期表が完全に完成する事はあるんですか? | 最近は加速器で既存の元素を衝突させて合成することで人工的に新元素を生み出しています。 最近では日本の理研が113番目の元素を作りだしニホニウムと命名されました。この方法もそろそろ限界かもしれませんね。 |
反原子についてはcp対象性の破れなどを聞いたことがありますが、まだ深くは分かってないということですか? | 反原子は加速器で作ることができ、研究も進んでいます。そういう意味で割とよくわかっているといえるでしょう。 |
中間子の方はクォークはどうなっているのでしょうか? | 中間子はクォークとその反粒子である反クォークが結びついた粒子です。 |
クォークはどの様にして命名されたのですか? | 陽子や中性子をかたちづくる素粒子(核子)の存在を考案した米国の物理学者マレイ・ゲルマンが、アイルランドの小説家ジェイムズ・ジョイスが1939年に発表した「フィネガンズ・ウェイク」の一節である”Three quarks for Muster Mark ” からヒントを得て命名したと言われています。この小説は非常に難解なうえに造語が多用されていて、この一説は「マーク王のもとに召喚された、三つのクォーク」と和訳されています。「クォーク」は海鳥の鳴き声。ゲルマン博士は、核子を3個1組で構成する基本粒子のネーミングにぴったり!と思ったのでしょうか。面白いですね。 |
クォークはそれ以上分解できるのですか? | いまのところは、これ以上分解できないと考えられています。新しい加速器を作るごとにその大きさを測っていますが、いつも誤差の範囲で「大きさ無し、分解できない」と結果が出てしまうのです。 |
クォークは陽子・中性子と比較して、どれくらいの大きさですか? | 陽子の大きさは計測されていて、およそ半径 0.8751(61)×10^(−15) m(0.8751プラスマイナス0.0061かける10のマイナス15乗メートル)です。クォークはその1000分の1より小さいことがわかっています。 |
電子はそれ以上分割できますか? | 新しい加速器を作るごとにその大きさを測っていますが、いつも誤差の範囲で「大きさ無し、分解できない」と結果がでていて、10^(-18)m以下です。 |
アップクォークとダウンクォークは、日常生活からは想像もできないほど小さいでしょうが、何故それらがひとつの場所(例えば陽子)に留まっていられるのでしょうか? | これまでの研究で、宇宙を司っているのは、電磁気力、強い力、弱い力、重力の4つであることがわかっています。3つのクォークに働いているのは「強い力」です。この力は不思議で、離れるほど働く力が強くなるのです。そして電磁気力より強いです。そのために、クォークは陽子の中に閉じ込められていて出てくることはありません。 |
物理は数式のイメージが強いですが、物理学を学ぶ上で大切なのは現象のイメージを掴むことでしょうか、それとも数式を読み取ることでしょうか。また、壮大な宇宙の物理をどのようにイメージしているのでしょうか? | まずは現象のイメージを捉えることがとても大事ですが、面白いのは数式に表現でき、計算して数値を求めると実測値と誤差の範囲で一致します。 ここがとても面白いです。 |
暗黒エネルギーが宇宙の70%を占めているというのは何の観測から得られた数値なのでしょうか | 米国の「WMAP衛星」と欧州の「プランク衛星」の2つの人工衛星が宇宙全天の温度を精密に測りました。その結果から暗黒エネルギーの割合がわかりました。 |
スーパーコンピューターが間違った情報を出してしまうことはないのでしょうか? | スーパーコンピューターといえども人の作った機械ですし、プログラミングも人がやっているので、間違いは生じます。しかし、間違いを検証する仕組みを入れるので、間違いに気が付くことができるようになっています。 |
暗黒物質は未知なのに、どうやってスパコンで計算するんですか? | 暗黒物質の正体はまだ不明ですが、その性質はわかっています。その性質の情報を入れて計算機でシミュレーションしています |
なぜHとHeが3対1になるのかはわかっているのですか?? | それぞれの元素は特有の電磁波を放出しているので、それを測れば種類と量がわかります。また宇宙の初めが火の玉宇宙から始まったとするビッグバンの理論から予測することができ、実測すると一致しています。 |
クオークは、アップクオークとダウンクオークの他には分かれていないのですか?他にもクオークの種類はあるのでしょうか | 現在クォークには6種類あることが加速器実験で確かめられています。軽いものから順に,アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、ボトム、トップと名付けられています。 |
クォークをさらに小さく分けることはできますか? | これまでの加速器実験の結果では、今のところ、どのクォークも大きさがなく、それ以上分けることができないという結論がでています。研究が進むとどうなるのでしょうね? |
マイクロ波で原子が動くことで運動エネルギーなどが取り出せるのでしょうか | 電子レンジのマイクロ波で食品を温める時には、マイクロ波で水分子がブルブルと揺れ、摩擦熱で食品が温まります。 加速器のマイクロ波は食品を温めるのとは少し原理が異なっています。マイクロ波は電波なので、プラス・マイナスの波が交互に電子にかかります。電子はマイナスの電荷を持つので、タイミングをあわせて、いつもプラスの波で押すようにすると、電子にどんどんエネルギーを与えることができます。これが加速器の原理です。 |
反原子って何ですか | ある素粒子に対して、質量とスピンは等しいのに、電荷など正負の属性が逆の粒子を反粒子といいます。反原子は反粒子で構成される原子です。例えば、反原子の一種である反水素は反陽子のまわりに陽電子(電子の反粒子)がまわっています。 |
暗黒物質が無いと星が出来ないとおっしゃっていましたが、そこに暗黒エネルギーは関与していますか? | 宇宙に漂っていた塵が集まってかたまり星が形成される時に、暗黒物質が塵をまとめるのに重要な役割を果たしています。また、複数の星が集まり、引っ張り込まれて「銀河」を形成するときにも暗黒物質が関係しています。 暗黒エネルギーは、逆に引き裂く方向に働くので、星や銀河の形成には関係ありません。 |
暗黒物質とは、ダークマターやダークエネルギーと呼ばれる物ですか? | 暗黒物質がダークマター、暗黒エネルギーがダークエネルギーです。 |
中性子や陽子を構成するクォーク、またさらにクォークを構成するさらに小さな物質があるとわかったとき、それは何に役立つのでしょうか? | もし、クォークに中身があることがわかったら、それはクォークの中身を閉じ込めている「未知の仕組み」があるということです。 電子が発見されて、その仕組みがわかったことで、現代の私たちの生活が今の姿になりました。未知の仕組みがどのように役立つのかは今の時点ではわかりませんが(そもそも仕組み自体のことがわかりませんからね!)、新しい仕組みがわかれば、人はそれを生活の役に立てようと工夫するでしょう。 |
陽電子と電子は、どう違うのですか? | ある素粒子に対して、質量とスピンは等しいのに、電荷など正負の属性が逆の粒子が反粒子。陽電子は、電子の反粒子です。電子はマイナスの電荷を、陽電子はプラスの電荷を持っています。陽電子と電子は逆符号の電気を持っていて、電子と陽電子が出会うと光になってしまいます。 電子は身の回りにたくさん存在していますが、陽電子は自然の状態ではほとんど存在しません。なので実験するためには人工的に作り出す必用があります。 |
陽子や中性子がクォーク3つで出来ているとありましたが、3つである理由があったりしますか? | 喩えなのですが、クォークには「色」という性質があります。光の三原色のようにクォークにも赤、緑、青の三種類があり、3つの光が混じると白色になるようにクォークも3つの種類が揃うと安定して陽子や中性子になると考える量子色力学という理論があります。それで陽子や中性子を形成するには3つのクォークが必要になると考えられています。 |
クォークをさらに分割することはできますか?できると予測できるならどのようにして調べるのですか? | より高いエネルギーのクォークを加速器で作ると大きさがあれば観測できると考えています。でも、これまでの実験では、いつも誤差の範囲で大きさゼロ、という結果になっています。 |
ミューオンとミューニュートリノ、タウとタウニュートリノの違いはなんですか? | ミューオンとミューニュートリノ、タウとタウニュートリノは全く異なる素粒子です。「レプトン」に分類される素粒子「電子」「ミューオン」「タウ」の3つに対応して、「電子ニュートリノ」「ミューニュートリノ」「タウニュートリノ」の3種類があります。弱い相互作用でそれぞれの相棒のレプトンと電荷を交換します。ミューオンとタウの電荷は-1で、ニュートリノの電荷がゼロです。 |
空が青いのは可視光線の色ごとの波長の関係だと仰いましたが、可視光線の青色より波長の短い紫色はどうなってるんでしょうか? | 青より短い波長の紫までを目で感じることができますが、より短い波長の紫外線は人間の目で感じることができません。 空はたまたま青の波長なので感じることができます。 |
ヒッグス粒子について物質に質量を持たせる働きがあると聞いたことがあるのですが、それと物質を反物質に変換することは関係があるのでしょうか? | 物質と反物質は対の関係にあります。物質が反物質に変換されることはありません。対の関係なので、光から物質と反物質が生まれたり、物質と反物質が出会って光になります。一方、ヒッグス粒子はまだ発見したばかりで、しかも今のところLHC加速器実験でしか観測できないので、詳しいことがわかっていません。ILC加速器があればより詳しくわかるでしょう。 |
ヒッグス粒子という言葉を聞いて少し興味を惹かれ、調べました。ヒッグス粒子が空間になければ、すべての粒子は質量をもたないということでした。先程おっしゃられたように「宇宙をつくる」ことができるのであれば、ヒッグス粒子のない空間も再現できたりするのでしょうか? | 宇宙はヒッグス粒子を作る能力を持つという性質を持っているので、 加速器で宇宙の始まりを再現してもその性質は残ると思われます。 |