特集

LCニュースライン 12月22日号

特別号: 日本学術会議 ILCに関する所見を発表
2018年12月19日、日本学術会議がILCに関する所見を発表しました。この報告書はILC計画にとってどんな意味があるのか?次のステップは?LCニュースラインではKEKの報告書に対する対応、所見の要約、そして政治からのメッセージを特集します。

 

Director’s Update ディレクターより

2018年12月19日に、日本学術会議が公開した「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見(以下、「所見」。)」が発表されました。ここでは、所見について解説を行いたいと思います。

文部科学省は国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議でILCプロジェクトに関して行われた議論を受けて、2018年7月に日本学術会議に審査を依頼しました。日本学術会議は日本の科学者にの代表機関であり、特別な委員会を設置してILC計画に関する詳細な検討が行われました。学術会議の幹事会で承認され、文部科学省へ提出された所見では、ILCの科
学的な意義を認める一方で、様々な解決すべき課題を有することから、ILCの日本誘致の支持には至らないと結論づけられました。指摘された課題のひとつとして、資金面での適正な国際経費分担に関して明確な見通しが得られていないことが挙げられています。

ここで明確にしておきたいのは、日本学術会議の所見は、日本政府の意思決定過程において、社会的な利益等のその他の要因とともに考慮されるものである、という点です。我々は、ILCに関する日本政府からの正式な声明が、欧州の素粒子物理戦略の決定プロセスにおいて十分に検討されるように、時宜を得て発表されることを強く望んでおります。KEKは、多くの国内外の共同研究者とともに、進捗を維持し、ILCを日本で実現するために最大限の努力を尽しております。 皆様のサポートに感謝するとともに、引き続きの支援をお願い申し上げます。

高エネルギー加速器研究機構
ILC推進準備室

 

KEKより:「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見」について

まずはじめに、日本学術会議「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会」による迅速にして詳細にわたる評価に心より感謝いたします。 この度、日本学術会議の最終回答が公表されたのを受け、ここに我々の見解を述べます。

日本学術会議において、「標準模型を超える新物理」追究というILC計画の学術的意義が評価された一方で、ILC計画の日本誘致実現に向けて、特に国際プロジェクトとしての経費分担や国際的推進体制についての課題も指摘されました。 これらの課題を解決するためにも、日本政府におかれましては、ILCの実現に向けた国際協議の実施について前向きな立場を早期に示していただけるようお願いいたします。

人類はこれまで加速器を使った研究などによって極微の世界を明らかにしてきました。 しかし自然界にはいまだに解明できずにいる大きな謎が残っており、それらを解明することが現代物理学の最大の課題となっています。 その鍵を握るのがヒッグス粒子であることは世界の素粒子物理学者の中で幅広いコンセンサスを得ており、その詳細研究により、人類の自然理解の地平が一気に拡がる可能性を秘めています。 リニアコライダーはこれからの50年、100年先までの「物理学の方向性」を決める一大転機となり得る重要な計画です。

ILCの物理の意義については広く共有されている所ですが、日本がILC計画の主要な部分を担うことの意義や是非については、学術的側面だけでなく、様々な社会的側面から議論されるべきものです。 これまでの研究者による検討を超えて、次は政府による国際協議を実施することが必要な段階にあります。協議の進行の中で、国際的、国内的条件が満たされないことが明確となった場合には、計画は中止されることになります。 予算を含めた世界のコンセンサスを得て、広く学界、社会から支持されるよう、ILC計画を進めていく所存です。

指摘された技術的課題については、世界が協力し、リソースを集中して、その解決に臨んでおります。これまでの、LHC、KEKB、European XFEL などにおける経験、実績から、充分解決できると確信しております。

 

学術会議所見に対する政治からのメッセージ

日本学 術会議における精力的な議論に、敬意を表する。 ILC計画の学術的意義と国際共同研究として日本が貢献する意義が認められたことは極めて重要である。

ILCには、科学技術イノベーション外交・安全保障政策、産業政策、地方創生・復興など多岐に亘る政策的意義があり、「国家プロジェクト」としての日本 への誘致実現は“政治の使命”として進めいくべき課題と捉えている。

引き続き、我々は 科学技術創造立国を標榜し、 科学技術創造立国を標榜し、今回学術会議より指摘された課題への対応策を含め、この 壮大な計画への国民の理解を求めていく。
当議員連盟及び絡協会の総力を挙げて、日本政府の誘致実現に向けた最大限の努力を続けていく所存である。

リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟 会長
ILC誘致実現連絡協議会 代表
河村 建夫

 

「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見」

全文(日本学術会議ウェブサイト)

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