総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科 物質構造科学専攻

先端検出器開発ワーキンググループ

放射光ビームを使って新しい機能を持つ材料の構造と状態を精密に調べ、構造の時間変化を観測、その物質特有の機能が現れるしくみを解明することが期待されています。本ワーキンググループはこれらの研究を切り開く新しい検出器の開発を行うことを目的としています。たとえば、1)高精細かつ高速読み出しが可能な放射光X線用画像検出器、2)超高速・高時間分解能X線検出器、3)軟X線領域で高速応答可能なパルス型位置およびエネルギー分解能を有する検出器などです。

次世代の検出器システム開発を担う人材を育成することも大切です。若手研究者・技術者のプロジェクトへの参画呼びかけ、成果達成のサポート、プロモーションを行います。他の組織との連携もはかります。

img01.pngグループリーダー: 岸本俊二(教授)


主なプロジェクト

回路とセンサーが一体となったSOI(Silicon On Insulator)技術による2次元ピクセルアレイX線検出器の開発

隣接した回折像の精密な識別や、軟X線測定のため真空槽内に設置する装置小型化の要求にこたえて、高い空間分解能が求められます。酸化層を介してX線センサー部と信号処理回路系の一体化が実現できるSOIウェハ技術を使ってピクセルサイズ50μm以下の高精細化を可能にします。試料に外から刺激を与えて物質構造の時間変化を研究することは、新しいエレクトロニクス材料の開発などに不可欠となっているため1フレームあたりの画像検出器のデータ記録を1ミリ秒以下で行えるように高速化することが要求されます。ピクセルサイズ30μm、メモリ内蔵により高速現象の連続記録を可能とすることを目標とする、科研費・新学術領域「3次元半導体検出器で切り拓く新たな量子イメージングの展開」のもとでの計画研究「放射光を用いた空間階層構造とダイナミクス研究のためのイメージング」が実施され(FY2013-2017)、その後も開発を継続しています。

超高速ピクセルアレイ検出器システムの開発

シリコン・アバランシェフォトダイオード(Si-APD)のリニアアレイ(直線配列)をX線センサーとする超高速検出器システムの開発が行われています。64ピクセルや128ピクセルのリニアアレイ(ピクセルサイズ:200x100μm2)による0.5nsごとの時間分解計数を実現させました。この検出器システムは原子核共鳴散乱を使った物性測定やX線回折強度の時間分解測定に応用されます。PFでのSi-APDをセンサーとするX線検出器の開発と素核研エレクトロニクス・システムグループの超高速ASIC(Application Specific IC)開発やFPGA(Field Programmable Gate Array)を使った高集積度電子回路技術 による共同研究(科研費・基盤(A)による)が進展しています。

fig01.png SOIによる高精細X線画像検出器。超精密結晶構造解析、時間分解測定への応用を行う。

オージェ電子用30チャンネル・マルチアノードMCP検出器の開発

PF BL-16Aで進められる高速偏光スイッチング実験のためにMCP検出器システムの開発を行いました。放射光軟X線ビームを照射された試料表面から放出されるオージェ電子を30チャンネル・マルチアノード・マイクロチャンネルプレート(MCP)を使って深さ分解して検出します。高速偏光スイッチング(10Hz)によるX線磁気円二色性(XMCD)実験のテスト測定を実施、検出器各チャンネルからのX線吸収スペクトル測定に成功しました。そのために1msあたり104カウントに対応できる高速パルスシステムを製作しました。高速パルスアンプとして採用されたASICは、J-PARCミュオンμSR分光器システムに採用されており、素核研E-sysグループの設計によるものです。

fig02.png Si-APDリニアアレイの写真。ピクセルサイズ:200x100μm、64ピクセルが直線配置されている。

 

fig03.png PF BL-16A XMCD実験用30-ch マルチアノードMCP 検出器本体

メンバー

氏名役職専門分野
岸本 俊二 教授 APDアレイ・SOI GL
雨宮 健太 教授 MCP
五十嵐 教之 准教授 SOI小角散乱
熊井 玲児 教授 SOI構造物性
足立 伸一 教授 APDアレイ
橋本 亮 特任助教 APD・SOI
春木 理恵 研究員 APD

関連ビームライン

BL-16A (高速偏光スイッチングXMCD実験を実施)

BL-14A (検出器評価・開発研究ステーション)

BL-15A (小角散乱実験ステーション)

BL-8A (SOI検出器によるX線回折実験を実施)

リンク

物質構造科学研究所 計測システム開発室 (IMSS Instrument R&Dteam):https://www2.kek.jp/imss/iird/

計測システム開発のための大学・研究機関ネットワーク "Open-It":http://www-osc.kek.jp/

KEK測定器開発室 ピクセル検出器用超高速信号処理システム開発(FPIX)プロジェクト:http://rd.kek.jp/project/fpix/index_j.html

科研費・新学術領域「3次元半導体検出器で切り拓く新たな量子イメージングの展開」:http://soipix.jp/index.html

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