ミュオン科学研究系活動報告2015(8~9月)

2015年10月01日

◤ J-PARC MUSE施設整備状況

1. ミュオン施設Dライン用、新超伝導ソレノイド冷却励磁試験

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 図1:設置が完了した新ソレノイド写真 [拡大図(487KB)

 ミュオン施設ではJ-PARC 低温セクションの協力のもと7月より、新しい超伝導ソレノイドをD ラインに設置する作業を続けてきた。作業は順調に進行し、昨年度設置したオンラインヘリウム冷凍システムを用いて8月26日より初のソレノイド冷却試験が行われた。室温から励磁可能な極低温までに要する冷却時間は2日程度であり、従来のソレノイドより、かなりの時間短縮が可能となった。また引き続き9月1日より、励磁試験が開始され、励磁電流を徐々にあげていくことで、9月3日には定格励磁(415A,3,5T)に成功した。本ソレノイドはウオームボア方式を採用したことにより、特に低エネルギーミュオンのビーム強度が増加することが期待される。図1に設置が完了した新ソレノイド写真を示す。

 

 

2. ミュオンスクレーパ交換設置

 ミュオンセクションでは今年度の夏期作業として、標的直下流のスクレーパの交換を実施している。スクレーパは高度に放射化しているため、MLF ディビジョン内、放射線セクションでの安全審査を経て、作業を実施している。使用済スクレーパはビームライン脇の一時保管庫に遠隔操作交換輸送容器キャスクを用いて移動する。一時保管庫内には、既に放射化物が保管されているが、整理を行い、真空排気可能な保管容器を設置する。キャスクによって精密に設置するための関連機器の設置作業や、スクレーパ、保管容器の製作が進んでいる。スクレーパを交換するためには、交換機器との干渉を避けるために、ビームライン上の冷却水配管、真空フランジや標的用上下駆動機構を取り外し、キャスク架台を設置する。キャスク架台の設置確認を実施した。スクレーパ、保管容器は工場試験後にMLF に搬入された。

 

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図2:新スクレーパの工場試験(左図)、MLFの一時保管庫に設置される保管容器の写真(右図)を示す。 [左:拡大図(377KB) / 右:拡大図(614KB)

 

3. Sライン

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 図3:、S ライン電源のメガー試験・インターロック動作の確認等、安全確認を行っている写真。 [拡大図(430KB)

 Sライン電磁石電源13 台の実負荷通電試験をおこなった。まず試験に先立って、メガー試験・インターロック動作の確認等、安全確認をおこない、定格電流までの通電・6 時間の安定度試験を実施した。結果、全ての電源について問題のないことが確認された。また、Sライン機器間のLANケーブル敷設が完了し、ビームライン制御のためのEPICS や、DAQシステムなどの動作試験を行っている。

 

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