2017年 3月
1. 装置整備・開発等
・遠隔操作関連機器の開発
使用済みミュオン標的は高度に放射化(毎時5 Sv)するために、遠隔操作による交換が必要とされる。これまで一年に一回程度の遠隔操作コミッショニングを継続してきた。2016年度のコミッショニング作業で得た知見より、保守性を向上させるための改造を施している。
・長期保管容器格納遠隔コミッショニング(長期保守作業)
使用済みミュオン標的は高度に放射化(毎時5 Sv)するために、遠隔操作にて交換を行う。取り外されたミュオン標的は切断装置によって分割、減容され、長期保管容器内に格納される。2014年に、ミュオン標的の高放射化部を容器内に格納する遠隔コミッショニングを実施した。今年度は、残りの中放射化部と低放射化部を分割して長期保管容器内に格納することによって、更に減容する。フル遠隔操作を模擬した試験を8/29-9/2に実施した。2008年より開始した遠隔操作コミッショニングによってフル遠隔操作で使用済みミュオン標的を遠隔操作で新標的に交換し、減容処理を行い、容器内に格納できる事を確認した。
2. Hライン用細線構成ケーブル
将来Hラインで使用する電磁石と電源では、電源ヤード架台や遮蔽の間を縫うように配線する必要があり、曲げ半径の小さいフレキシブルなケーブルが必要となる。J-PARC MLF建設時のミュオン標的から中性子標的に至る陽子輸送トンネルでは、狭い空間での配線のため、素線が細くEP ゴム絶縁の細線構成ケーブルを使用した。しかし、同ケーブルはメーカーが製造を中止したため、現在は入手できなくなっている。そこで、同一仕様のケーブルの製造を行い、3/3 に工場試験を行い所定の性能が出ていることを確認した。
下の写真は曲げ試験を撮影したもの。ケーブル径の6 倍の曲げ半径に合わせたドラムに沿い180 度の曲げ伸ばしを5 回行い、ケーブルシースに亀裂等の異常がないことを確認した。
3/15 にMLF に納品され、現在は仮置きさせている。なお特注品でコスト高のため、本番のH ラインの配線時には、急峻な曲げのある場所のみで同ケーブルを使用し、それ以外では一般的な架橋ポリエチレン絶縁のケーブルを使用する予定である。