2021年 12月 13日
ミュオンHライン・ビームライン電磁石の励磁試験
現在建設中のミュオンHラインは高統計を要する基礎物理実験や透過型ミュオン顕微鏡などの実験が計画されている大強度ミュオンビームラインである。段階的に建設を進め、2021年度夏季シャットダウンにはHライン第1分岐(H1エリア)までの全てのビームライン電磁石の電気配線・冷却水配管を完了し、現在電磁石の励磁試験を進めている。
特にミュオン標的で生成された表面ミュオンやパイオンなどを捕獲するための常伝導ソレノイド電源3台の実負荷調整を行い、それぞれ出力電流1500A, 1500A, 900Aまで通電可能であることがわかった。これは当初想定していた電源定格電流より低いが、主たるミュオンビームモードである表面ミュオン(運動量30MeV/cの正ミュオン)モードについては設計ビーム強度の94%でミュオンビームを輸送可能である。さらに高運動量な負ミュオンなどの輸送のため来年度に電源を改造し定格電流での励磁を可能にする予定である。
また、大径ミュオンビームを輸送するために用いる2台の超伝導ソレノイド(ボア径φ600mm)の冷却・励磁試験を行い、問題なく動作することも確認した(図1)。