ミュオン科学研究系活動報告2022(3月)

2022年 3月 14日

◤ J-PARC MUSE施設整備状況

ミュオンHラインが運転開始

 ミュオンHラインは高統計を要する基礎物理実験(ミュオニウム超微細構造の精密測定MuSEUM、ミュオン-電子転換過程探索DeeMe、ミュオンg-2/EDM実験)や透過型ミュオン顕微鏡などの実験が計画されている大強度ミュオンビームラインである。2012年から段階的に建設が進められてきたが、2021年夏期シャットダウン中に建設が大きく進展し、2022年1月に第1分岐であるH1実験エリアでファーストビームを観測した。
 現時点では、陽電子バックグラウンドを除去するための静電セパレータが未実装であるなど、未だ設計性能には到達してはいないが、Hラインにおいて実験を予定している複数の研究グループと共同でビームコミッショニングを進めている。図1はH1エリアにおける表面ミュオン(運動量約28 MeV/cの正電荷ミュオン)ビームのビームプロファイル、図2は磁場中のAl標的で正ミュオンを静止させた際に観測されたミュオンスピン回転の振動スペクトルである。来年度のユーザー実験に向け、ビームチューニングおよび負ミュオンビームのコミッショニングも進行中である。


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図1:表面ミュオンビームプロファイル[拡大図(86KB)

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図2:ミュオンスピン回転による時間振動スペクトル[拡大図(16KB)

 

 

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