ミュオン科学研究系活動報告2022(4月)

2022年 4月 18日

◤ J-PARC MUSE施設整備状況

ミュオンDライン:ミュオン触媒核融合研究に関連する2つの実験を実施

 2022年3月、ミュオンDラインD2エリアに於いて、ミュオン触媒核融合(μCF)研究に関連した2つの実験が、それぞれ気体・固体の重水素標的を用いて行われた。
 1つ目は、「共鳴励起ミュオン分子の輻射解離X線測定」である。近年、μCFの素過程を理解する上で、共鳴励起ミュオン分子の役割の重要さが指摘されている(T. Yamashita, Y. Kino et al., Scientific Reports 12 (2022) 6393)が、その存在に関する直接的な証拠は未だない。本実験では、共鳴励起ミュオン分子「ddμ*」の解離X線測定(1.7〜2 keV)による直接観測を目指し、優れたエネルギー分解能を有する極低温X線検出器を導入し、重水素気体標的による予備的な測定を行った。
 2つ目は、μCF後に放出される負ミュオン「再生ミュオン」の測定である。再生ミュオンは、近年、超低速『負』ミュオンビーム生成を実現するための手段として注目を集めている。本実験では、新たに開発した同軸輸送管による低速ミュオン引き出しシステムを導入し、固体水素/重水素標的の表面で起こるμCFからの再生ミュオンの観測を行った。


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図1:D2エリアに於けるミュオン触媒核融合研究に関連した2実験のセットアッ [拡大図(549KB)

 

 

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