2024年 3月 15日
ミュオン原子核捕獲反応の生成核分岐比測定
2024年2月、ミュオンDラインD2エリアにおいて、ミュオン原子核捕獲反応由来の生成核分岐比測定を実施した。
ミュオン原子核捕獲反応は、負ミュオンが原子核中の陽子と反応し中性子とミューニュートリノが生成される。この反応で生成する原子核は平均10-20 MeV、最大で100 MeV程度の励起状態となり、この高励起状態の原子核からは、中性子や荷電粒子が放出されることが知られている。ミュオン原子核捕獲反応による原子核の励起や、続く粒子放出過程についてはいまだ確立したモデルが存在せず、系統的な実験データの取得が求められている。
本実験は、インビーム・オフライン放射化法を組み合わせることによって、稀な複数荷電粒子の放出過程を含めた網羅的な分岐比測定を目指した。図1にD2エリアに設置したインビーム放射化法の実験セットアップを示す。6台のBGOシンチレーターによるコンプトンサプレッサー付きゲルマニウム検出器を使用することで、バックグラウンド成分を削減した高分解能・高統計の測定を行った。また、図2に示したオフライン放射化法のセットアップを使用して、長寿命の生成核についての測定を行っている。