J-PARCの状況報告
メッセージ
永宮正治J-PARCセンター長による、大震災後のJ-PARCの状況報告を紹介します。
- 第11報(12月9日)
- 本日、Linac ビーム試験運転を開始いたしました。予定していた12日より3日早いスタートとなりました。この後、18日には3GeVへのビーム試験運転を開始、22日には50GeVに入射予定です。さらに、年内には、3GeVと50GeVからの引き出しも行う予定です。
なお、プレス発表は、すべてのビームが利用者に使える状態になってから行います。多分1月の中旬以降になるのではと思います。引き続き、ご支援のほどをお願い申し上げます。
- 第10報(11月29日)
- やっと第三次補正がつきましたので、これから、道路・クレーン・壁、等々の工事を発注いたします。しかし、これらがなくてもビームだけは出せる状況に漕ぎ着けつつあります。12月中旬から下旬にかけて Linac, 3GeV, 50GeVと順次調整を行っていく予定です。
電力は、55MWのフル運転の契約が完了し、すでに11月より可能になっております。あとは、本当に動くかという段階で、毎日、日夜、頑張っております。
引き続き、ご支援のほどをお願い申し上げます。
- 第8報(7月6日)
- 最近4カ月のJ-PARCの進展を、110707というファイルで http://kds.kek.jp/materialDisplay.py?materialId=1&confId=6810
に置きました。眺めて下さい。Usersname と Password は、欄外を眺めていただければ、書かれています。日本語と英語版があります。 最近、来年度の運転計画をまとめました。それも載っています。来年度は、9サイクル(フル)運転をめざしております。また、12月復旧プランに変更はありません。
- 第7報(6月2日)
- 最近のJ-PARCの状況を、110528というファイルで http://kds.kek.jp/materialDisplay.py?materialId=1&confId=6810
に置きました。眺めて下さい。Usersname と Password は、欄外を眺めていただければ、書かれています。日本語と英語版があります。 最近、復興計画を示しました。12月にビームテストということ、そして、その後、2サイクル運転を企画しています。それに沿って、皆さん工程を立てていますし、私たちも努力を重ねております。
- 第6報(4月27日)
- 先日お送りしました110422というJ-PARCに関するファイルですが、昨日、さらなる議論を行ない、細かい字句の修正と、最後のページの「今後のスケジュール」に関する記述を改めました。
http://kds.kek.jp/materialDisplay.py?materialId=1&confId=6810
にも置きました。Usersname と Password は、欄外を眺めていただければ、書かれています。
なお、この工程を守るため、KEKやJAEAで、施設部や建設部、等と話し合いを続けております。
- (4月22日)
- 4月に入り、はや3週間が経ちました。最近のJ-PARCの状況を、110422というファイルで
http://kds.kek.jp/materialDisplay.py?materialId=1&confId=6810
に置きました。眺めて下さい。Usersname と Password は、欄外を眺めていただければ、書かれています。日本語と英語版があります。
最近、復興予算を文科省に提出いたしました。現在、施設関連の復興、特に電気と冷却水の復興を両機関の関連部署と詰めているところです。私共に関連するアラインメントを始めとする作業は、かなり進んでおります。
- 第5報(4月4日)
- 最近のJ-PARCの
1)写真
2)概況説明
の二つを http://kds.kek.jp/materialDisplay.py?materialId=0&confId=6810
に置きました。眺めて下さい、Usersname と Password は、欄外を眺めていただければ、書かれています。日本語と英語版があります。
なおこのアドレスを用いて、適宜、改訂いたします。
現在、鋭意復興に努めているところです。今のところ正確な修復日程を申し上げられる段階には至っておりません。5月中旬には、きちっとした日程目標を掲げたいと思っておりますが、現段階では半年程度での復興を目標にしております。
- 第4報(3月25日)
- 最近のJ-PARCの写真等を、
http://kds.kek.jp/materialDisplay.py?materialId=0&confId=6810
に置きました。眺めて下さい、Usersname と Password は、欄外を眺めていただければ、書かれています。日本語と英語版があります。同じものですが、外国人に分かりやすいようにしました。
(以下、最初の2ページより抜粋)
全体的なこと(2011.3.25)
3月11日(金)に地震発生。
幸い怪我人等なし。
見学者がいたが、説明の途中で机の下に隠れさせた。
その直後に天井が落下。全員救出したが、服等はボロボロに。
翌日の目視
津波の影響なし。
建屋は全体的にしっかりしていた。
周りの道路や電源室等が大幅な崩壊。
3月13日(日)までに、外国人ユーザー全員を安全地帯へ移動。
ユーザーズオフィス、KEKバス、等が活躍。つくばや成田へ。
3月17日(木)に一斉点検
電気がないために、限られた範囲での調査しかできなかった。
以下に写真を掲載。
2つの変電所のうち、1つ(リニアック等) が傾いた。
もう一つ(MR等) はほぼ健全。
二次災害を防ぐには、まず電源の回復が大切。
それにより、水の排出や照明を
3月23日に、リニアック用変電所もMR用変電所も早期復活が可能に。
同時に自家発電機の手配をした(3.23.時点では3.25.に入手可能)。
24日現在、リニアック部で10センチまでたまる(毎日13リューベ以上増えている)。
25日、自家発電機が到着。早速、リニアック部の排水を開始。
JLAN は、電源棟の倒壊があったので修復。その後、3月22日(火) に完全復帰。
オフィスには3月24日(水) 午後に給水復帰(東海村は20日に復帰)。
これからの作業予定(2011.3.25.)
直ぐに行うこと(あるいは行なったこと)
自家発電機を用いたリニアックの排水。アルカリ性なので、中和のための液体の早期手配。プライオリティ#1。
各種照明の復帰。総点検を開始。
中央制御棟への配線と電話の復活(特にトンネル内作業のためのPHS復活)
ニュートリノ前置検出器、主リングの排水開始。
災害措置第一段補正予算の提出。
来週から2週間の予定(3.28. 4.8.)
すべての機器類の総点検。
修理や交換が必要なものに関し、リストと値段の算定。
今後の電力使用計画。
工程表の作成。
その後、5月上旬まで
第二段予算計画の策定。
総点検後の種々の施策。
当面は、毎日午後4時から「J‐PARC対策会議」を実施。
- 第3報(3月20日)
- 皆さん
やっと東海にも水道がやって参りました。
電源に関しては、二つの電源の一つを来週水曜日頃までに修理してMRの方面に用います。また、壊れたリニアック電源に代わって、建設時に使用していた68電源から数百メートルのケーブルを引っ張ることを企画しております。その一方、より早期には、自家発電機を用いたリニアックの照明や排水を企画しています。しかしながら、なかなか業者の手配が上手くいかず、火曜日から再度頑張るつもりでおります。
これまでの経過の記述に対し、多少修正したものを添付します。
- 第2報(3月18日)
- 1)先日書き忘れましたが、J-PARCには多くの外国人が働いております。手分けしてすべての方を調査し、13日(日)には全員つくばや東京、空港等に届けました。
2)昨日17日に、内部の調査を行ないました。リニアックとニュートリノ前置検出部に1センチ程度の水がたまっていることは見受けられましたが、それ以外は、少なくも加速器全般に亘って異常は見られませんでした。しかし、これはあくまで外見からだけなので、これから細かいところの点検は必要です。たとえば、セラミックダクトは健全かといった調査が必要です。さらに、実験室全般に亘って、大きな損傷はみられませんでした。もちろん、これも機器類の外見から見ただけです。あまり以前の状態と変わっておらず、まずはホットいたしました。多数の杭を打っておいたおかげで、建屋はびくともせず、内部にひび割れもない状況でした。残念ながら、照明がまだなので、来週にさらに詳しい点検を行います。
3)一方、外部の受電装置は2か所ありますが、1か所が傾き、大幅な修理が必要となります。しかし、もう一方の受電装置は損傷が少なく、数日内で復旧させる予定です。可能な電源を用いて、内部の照明やポンプによる水のくみ出し、さらには、加速器の内部を乾燥させる作業を早急に始める予定です。
4)一方、道路のみならず、実験室でも元の実験室から外に拡張して作った中性子ラインには、大きな損傷が見られます。実験室では、元の杭打ちをきちっとした実験室との間に、垂直方向に30センチほどのギャップが生じています。道路も20-30箇所潰れています。地面も、場所によって20センチから1メートルまで陥没が見られます。
5)建屋でも、外にある電源室、液体窒素タンク等での傾きがみられました。
6)しかし、肝心の加速器本体や実験室の大半は大きな損傷はなく、これは大きな救いでした。まず、二次災害が起こらないよう、通電を開始する予定です。その後、一つ一つ進めてまいります。
7)現在、東海地区は相変わらず水が止まった状態です。
- 第1報(3月13日)
- 今回の地震に関し、いくつか報告しておきます。
1)まず、J-PARC関係者においては、事故に会った人はおりませんでした。全員無事です。
2)金曜日の災害時には、私はつくばにおりました。通信が途絶え、何もすることはできませんでしたが、全員無事なことだけは、高橋ディビジョン長を通じて知りました。
3)あくる日の土曜日に、J-PARCの場所に行きました。近隣では津波の災害が頻発しておりましたが、J-PARCは、外見からみるだけでは、ほとんど遜色なく大丈夫です。しかし、地面が20-50センチほど陥没しているところが数ヵ所以上あり、また、道路もくねくねしています。現在、普通の人に対しては、J-PARCエリアも立ち入り禁止にしてあります。近隣の一般道路も、かなり damage があります。
4)地震時は、MRはオフで、Linacは運転しておりました。ただちに止めました(止まりました)が、金曜日は、取り合えずそのままにして、月曜日から対策を練ります。
5)東海は、まだ電気も水道も止まったままです。外国人のユーザーが、とりあえずは「みのうち」の宿舎等にいますが、月曜日には、何とか手を打たねばなりません。
6)J-PARCの Lan は止まったままです。現在は、今は家のコンピューターから発信しています。明日月曜日に、再度、出掛けて様子を見ますが、コンピューターが通じるかどうかは分かりません。
7)国際的にも多くの反響があったので、国際諮問委員会や加速器諮問委員会のメンバーには、現状を知らせておきました。
8)いずれにせよ、津波による被害もなく、杭をきちっと打ってあったので、建屋もしっかりとしています。内部に関しては、磁石等が倒れるということはなかったようです。放射線の問題もありませんでした。これから復旧のための議論をしますが、これに関しでは、またお知らせします。