2022年2月の活動報告 : メカニカルエンジニアリンググループ
2022年3月2日
メカニカルエンジニアリンググループ(メカグループ)が2022年2月の活動報告を行いました。メカグループは、素核研で行われている様々な実験に必要となる装置の設計・加工・組立を行なっています。そこでは構造・材料・真空、低音、熱、回路、測定技術といった幅広い知識が必要になると同時に、軽さ(低物質量)と剛性等相反する性能を実現する為の非常に難しい技術が求められます。世界最先端の研究を行う装置は世界に一つしか作製されないものが多く、既存の技術を超えた新たな技術を生み出すべく日々「もの造り」の試行錯誤を重ねています。
前回の活動報告からの進展として、振動に関するスペシャリストがメカグループに加わり、実験装置の振動問題/対策に取り組むことができるようになりました。今回はそれらの取り組みに関して報告しています。
①では、Belle II測定器の中心部に導入されている衝突点用超伝導電磁石(QCS)に地震がどの程度影響するか解析した結果を報告しています。QCSは過去に地震が起きた際、電源が遮断される現象が生じました。今回の解析結果から、QCSの電源遮断は地震によるBelle II測定器のずれが原因で生じたことが確かめられました。
②では実験的宇宙物理グループ(KEK CMBグループ)のPOLARBEAR(ポーラーベア)II電波望遠鏡に搭載されている、大口径のセンサー(TESボロメータ)への振動軽減の技術開発状況について報告しています。メカグループでは現在、TESボロメータに加わる冷凍機由来の機械的な振動を軽減する技術開発も進めています。テスト装置を作り動作確認するなど、開発は順調に進んでいます。
③では、大強度陽子加速器施設(J-PARC)のニュートリノ/2次ビームラインにおける架台への疲労破壊の影響についての解析結果を報告しています。解析の結果、本ラインにある冷却用のHeコンプレッサーを載せている架台に加わる振動が、疲労破壊(振動が永続的に加わることによる破壊)を考慮しなければならないレベルであることを突き止めました。
詳しくはこちらをどうぞ。
メカニカルエンジニアリンググループのグループ紹介はこちら。