2021年6月の活動報告 : メカニカルエンジニアリンググループ
2021年6月29日
メカニカルエンジニアリンググループが2021年6月の活動報告を行いました。メカニカルエンジニアリンググループは、素核研で行われている様々な実験に必要となる装置の設計・加工・組立を行なっています。そこでは構造・材料・真空、低音、熱、回路、測定技術といった幅広い知識が必要になると同時に、軽さ(低物質量)と剛性等相反する性能を実現する為の非常に難しい技術が求められます。世界最先端の研究を行う装置は世界に一つしか製作されないものが多く、既存の技術を超えた新たな技術を生み出すべく日々「もの造り」の試行錯誤を重ねています。
今回の活動報告では、J-PARCで実施予定のCOMET実験用ガス冷却システムの開発状況を紹介しています。この冷却システムは、COMET実験用の飛跡検出器内に設置されるエレキボードを冷却するためのものです。使用するガスはエレキボートを冷却するだけでなく、粒子の飛跡を捉えるためにも使用されます。本ガス冷却システムでは、エレキボード冷却用のガスラインと、電子を検出する480本のストロー状検出部に活性ガスを供給するガスラインとが一体化していなければなりません。両者のガスラインにおけるガスの流量は10~数十倍程度違いがあるものの、上記のような一体化した構造では、両者のガスラインの圧力差が小さくなければならないという制限がありました。しかしながら、無事実現可能なガス冷却システムの目処は得られ、現在はより低温のガスを飛跡検出器に送り込むための最適化設計に取り組んでいます。
また、COMET実験のPhase I(ミューオンを輸送する超伝導電磁石のうち最初の90度の折曲がりまでを建設して物理計測を行う段階)での使用を現在想定している標的の熱・構造連成解析(シミュレーション)を実施し、問題がないことを確認しました。
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