2021年4月の活動報告 : ストレンジネス核物理グループ
2021年4月20日
素核研ストレンジネス核物理グループでは、KEK東海キャンパスにある大強度陽子加速器施設(J-PARC)のハドロン実験施設でストレンジクォークを含むハドロンや原子核を研究しています。今回は、2019年1月の活動報告で紹介したJ-PARC E07実験の最新の解析結果などを報告しています。J-PARC E07実験では、ストレンジクォークを1つ含む「ラムダ粒子」が原子核内に2つ入った「ダブル(二重)ラムダ核」や、ストレンジクォークを2つ含む「グザイ粒子」が入った「グザイ核」などの超原子核を探索・観測し、その束縛エネルギーからラムダ粒子間やグザイ粒子と核子間に働く核力などを調べることを目的としています。
2020年4月までに完了した解析の中から、ダブルハイパー核を33例検出しました。そのうち、2019年1月の活動報告で紹介したグザイ核のIBUKIイベントの詳細な解析を行い、グザイマイナス粒子が窒素14原子核に束縛するエネルギーを一意に決定した結果をまとめた論文が、2021 年2 月にPhysical Review Letters (PRL) 誌に出版されました。この成果はKEKからプレスリリースされています。
この他、新たにIRRAWADDYイベントなどが見つかりました。IRRAWADDYイベントもIBUKIイベント同様、グザイマイナス粒子が窒素14原子核に束縛したグザイ核で、その束縛エネルギーも一意に決定され、IBUKIイベントよりさらに深く束縛された状態であることが考えられます。他にも、これまでに見つかったグザイマイナス粒子と窒素14原子核の束縛系のイベントの束縛エネルギーを紹介しています。
今後は、検出器の情報を用いない全面探査法を用いて、さらに多くのダブルストレンジネス原子核を検出することを目標に準備を進めています。
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