活動報告

2020年6月の活動報告 : 短寿命核グループ

短寿命核グループが、2020年6月の活動報告を行いました。短寿命核グループは、埼玉県和光市の理化学研究所(理研)内にKEKが設置した和光原子核科学センターで、金や白金といった重元素が宇宙における爆発的合成過程で生成されることを、それに関与する未知の原子核の特性を調べることによって解明する研究をしています。

実験には元素選択型質量分離装置(KISS)と多重反射型飛行時間測定式質量分光器(MRTOF)、低速RIビーム生成装置(SLOWRI)を使用しています。KISSは質量数195近傍の短寿命核(短時間で自然に崩壊し別の原子核に変わる原子核)を生成し、レーザーを用いて分離する装置で、末端部の検出器では選出された短寿命核の寿命や崩壊の様子を測定します。KISSの下流部には、10ミリ秒程度の短い時間で質量を100万分の一以上の高精度で測定できるMRTOF という装置も設置されています。SLOWRIは、KEKと理研が共同開発運用を行うRIビームファクトリー(RIBF)の機関施設の一つで、高速ビームを減速・冷却して精密分光研究に適した高純度の低エネルギービームやイオントラップ中に静止した短寿命核を提供します。

2019年11月以降の主な研究・装置開発の成果として、以下の4点が紹介されています。
1.KISSに MRTOFシステムが整備され、レーザー分光法とβγ分光によるアイソマー状態(通常よりも原子核が長寿命で励起状態にある状態)の研究に新しい⼿段を提供できたこと、2.KISS の20keV連続ビームをイオントラップする新しい技術としてガスセルクーラーバンチャー(GCCB)法を開発し、一価のイオンが多価のイオンに変化する効果と、分⼦イオンを破壊して不純物から純粋な原子・分子を取り出す効果という重要な複効果を発⾒したこと、3 .MRTOF を⽤いて初の超重元素(自然界に存在する原子番号Zが最大の元素(ウランZ=92)よりも遥かに大きな原子番号(Z>103)を持ち、不安定で短寿命な元素)の同位体(257Db)の直接質量測定に成功したこと、4.新しい MRTOFを整備し、その質量分解能が劇的に向上し、世界一の性能を達成したこと

詳しくはこちらをどうぞ。

ページの先頭へ