2020年4月の活動報告 : UCNグループ
2020年4月13日
極低エネルギーの中性子、超冷中性子(UCN:Ultra-Cold Neutron)を用いて中性子電気双極子モーメント(中性子EDM: Electric Dipole Moment)の探索実験を行なっている、KEKの素核研UCNグループが2020年4月の活動報告を行いました。
中性子は電気的に中性な粒子ですが、非常に小さなスケールで見れば内部に電荷の偏りがあるかもしれません。中性子EDMはこの電荷の偏りから生じます。素核研UCNグループはTUCAN国際共同実験に参加し、中性子EDMを精密に測定することでCP対称性(物質・反物質の対称性)の破れの起源を解明することを目指しています。
2017年から開始したUCN生成実験と並行して、現在UCN源のアップグレード計画も進んでいます。TUCAN国際共同実験のためのUCN源の開発には日本グループが大きな貢献をしており、特にKEKでは最重要要素であるヘリウム3冷凍機の開発を行っています。UCNを効率的に生成するためには生成領域を1.0 K程度の低温に保つ必要があります。大量にUCNを生成するために必要な冷凍能力は10 Wと見積もられており、それを可能にする熱交換器の開発を行っています。
2020年2月には外部諮問委員会による実験レビューが行われ、ヘリウム3冷凍機の製作状況等は高い評価を得ることができました。2020年4月からは、熱交換器を組み込んだヘリウム3冷凍機全体の性能試験を開始する予定です。
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