2020年3月の活動報告 : CMBグループ
2020年3月17日
KEK CMBグループが2020年3月の活動報告を行いました。
KEK CMBグループでは、誕生から約38万年後の宇宙で発せられた宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測研究を行なっています。熱いビッグバン以前に宇宙が急激な加速膨張を起こしたとするインフレーション期では、重力波が生成された(原始重力波)と考えられています。CMBの偏光パターンの内、Bモードと呼ばれる渦模様が、この原始重力波によって作り出されると考えられています。そのため、CMBのBモード偏光を観測できれば原始重力波、すなわちインフレーションが起きた証拠を捉えるという科学史において最大級の発見となるのです。さらに、インフレーションの背後にある量子重力理論(超弦理論等)を検証することも可能となります。
KEK CMBグループでは、LiteBIRD衛星計画と地上観測実験を中心に、CMB偏光観測を目指しています。LiteBIRD衛星計画に関しては、2019年7月に世界中の研究者がJAXA宇宙科学研究所に集まりキックオフ会議を開催しました。現在は250名を超える国内外の研究者が参加しており、役割を分担して国際的に協力する体制が整いつつあります。
地上観測実験に関しては、ポーラーベア-1実験によるCMB偏光のデータと国立天文台のすばる望遠鏡による銀河観測のデータとの相関を世界で初めて測定しました。ポーラーベア-1受信機の感度を6倍程度改善し、かつ二つの周波数で同時観測できるポーラーベア-2受信機とその改良機2台を合わせた計3台の受信機を、3台の望遠鏡に搭載して多波長観測を目指すサイモンズアレイ計画も進行中で、現在は米国で作成された二台目の受信機をチリに輸送中です。
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