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【ようこそ素核研へ】ハドロングループ 山我 拓巳さん着任インタビュー
2024年5月20日
2023年12月に、ハドロングループに、山我 拓巳(やまが たくみ)さんが助教として着任しました。
素粒子物理学の世界に興味を持ったきっかけ、どのような研究をしてきたのか、また研究や作業などで行き詰った時の気分転換の方法などをお聞きしました。
■素粒子物理学の世界に興味を持ったきっかけは?
「ポジトロンライフル」(『新世紀エヴァンゲリオン』に登場)を見て、粒子加速器のスケールの大きさに圧倒されたことです。その光景を目にした瞬間、いつか自分も加速器を使って実験をしたいという強い思いが湧きました。また、多くのSF作品を通じて、「空想」の原子核・素粒子物理に魅了されていました。そしてある時、佐藤勝彦さんの『相対性理論を楽しむ本』『量子論を楽しむ本』を読んで、空想と現実が繋がったような感覚に陥りました。それまでの自分の世界が大きく広がったような気がしました。その経験から、いつしか素粒子・原子核を研究する物理学者を志すことになりました。
■KEKに来る前はどこでどのような研究をしていましたか?
大阪大学大学院に入学してから、一貫してJ-PARCハドロン実験施設で研究を行ってきました。研究テーマは「反K中間子原子核」です。通常の原子核はフェルミ粒子である「陽子」と「中性子」から構成されていますが、反K中間子原子核はこの構造にボーズ粒子である「反K中間子」を含みます。私たちはこのように「異物」を取り込んだ奇妙な原子核の性質を調査しています。これまでは、「反K中間子原子核は本当に存在するのか?」という疑問に焦点を当て、その存在を実験的に確認することに成功しました。そして、これからはその性質にさらに深く迫っていきたいと考えています。
■KEKではどんな研究をしていきたいですか?
これまでの原子核・ハドロン物理に関する研究に加え、J-PARCで多くの実験が行われるための基礎研究に取り組みたいです。利用者としてJ-PARCで実験していた頃には、あまりその重要性に気づいていませんでしたが、J-PARCという施設自体が多くの研究成果の結晶です。KEKに着任して初めて、「J-PARCでの物理実験は様々な基礎研究があってこそ実現している。」ということに気がつきました。まだ勉強中ではありますが、世界最先端の研究がJ-PARCで行われるよう、研究成果を積み上げていきたいと考えています。特に、ハドロン実験施設の拡張計画の実現に向けて力を入れたいです。
■研究や作業などで行き詰った時などの、気分転換の方法を教えてください
子供と遊ぶことが私の一番のお気に入りです!とにかく体を動かして遊びます。研究で行き詰まると、その問題ばかり考え込んでしまうことがありますが、子供たちと一緒に遊ぶことで全てを忘れられるくらい夢中になれます。私には6人の子供がいるので、彼らと一緒に遊ぶと本当に疲れ果てますが、その後、ぐっすりと眠れるんです。そして、その翌日からはとっても研究がはかどります。
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これからの、素核研での活躍に期待しています!