Bファクトリー加速器
 


 1994年4月から建設が開始されたBファクトリーとは、B中間子(bクオークと軽い反クオークが結合してできた中間子)と反B中間子の対を大量にあたかも工場(ファクトリー)のように造りだすことを目的とする、電子・陽電子衝突型の加速器である。Bファクトリーは、電子と陽電子のエネルギーが異なる非対称エネルギー、2リング型の衝突型加速器であることを特徴とする。
 実際、既存の周長3kmのトリスタンのトンネルの中に電子を蓄積する8GeVのリングと陽電子を蓄積する3.5GeVのリングの2つのリングを並べて設置する。電子と陽電子はそれぞれのリングの中を反対方向に周回する。2つのリングは2ヶ所で交差するが、そのうちの筑波実験室中の1ヶ所、すなわち衝突点で、電子と陽電子が衝突することになる。他の交差点(富士実験室中にある)では、リングを上下にすれ違わせ衝突を起こさせないようにする。衝突点を囲んでBELLE測定器が設置される。8GeVと3.5GeVというエネルギーは、B中間子の一対をちょうど創りだすエネルギーである。
 電子・陽電子衝突型加速器においては、電子や陽電子が数千億個集まってできたバンチとよばれるかたまりが、リング中を周回する。1つのバンチが担うことができる電流はせいぜい数mAであり、このような大きな蓄積電流は非常に多くのバンチに分散させなければならない。Bファクトリにおいては、各リングに5、000個のバンチを蓄積することになる。
 加速器の2つのリングは、電子、陽電子を曲げて、円形の軌道にするための電磁石群(おおよそ1600台)とビ−ムを通すための超高真空の全長3x2kmのビ−ムパイプから構成されている。




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