Bファクトリー加速器(KEKB)のルミノシティが4×1033cm-2s-1を超える
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新聞発表 2001年6月20日 |
高エネルギー加速器研究機構のBファクトリー加速器(KEKB)は、3.5GeVの陽電子と8GeVの電子を蓄積する2つのリングからなる、周長約3Kmの電子・陽電子衝突型加速器である。KEKBは1998年11月に完成し、予備的な総合調整運転を行った後、1999年5月にBELLE測定器が衝突点に組み込まれ、6月からは衝突実験が開始された。
その後KEKBの性能は着実に向上し、性能の指標であるルミノシティは2000年2月に1×1033 cm-2s-1、同7月には2×1033 cm-2s-1を超えた。
2001年になってからのKEKBの性能の向上はめざましく、まず4月には米国・スタンフォード線形加速器センター(SLAC)のBファクトリー加速器(PEP-II)の最高ルミノシティ3.30×1033cm-2s-1を超える3.34×1033cm-2s-1を達成し、6月11日早朝には、ついに4.00×1033cm-2s-1に到達した。
その後もルミノシティは増加し続けており、6月16日の早朝には4.10×1033cm-2s-1を記録した。ちなみに、このルミノシティは、KEKBの前身であるTRISTANの0.041×1033cm-2s-1の100倍に相当し、KEKBとPEP-IIが出現するまで最高記録をもっていた米国・コーネル大学の電子・陽電子衝突型加速器CESRのルミノシティ0.83×1033cm-2s-1の約5倍である。
衝突型加速器では、ルミノシティと並びこのルミノシティを時間積分した積分ルミノシティが重要で、実験装置が収集するデータ量は、積分ルミノシティに比例する。
KEKBがこれまでに達成した1日当たりの積分ルミノシティは224/pb、1ヶ月当たりの積分ルミノシティは4.7/fbであり、これらはPEP-IIの値より約25%大きい。
今年に入ってからKEKBの性能が向上したのは、(1)加速器の調整が進み、より良い動作点が見つかったこと、(2)衝突を制御するフィードバック・システムが整備されたこと、そして(3)陽電子リングのビームサイズが電子雲によって増大するのを真空ダクトに巻きつけたソレノイドの磁場で抑えることができたことによる。
今後さらに電子雲によるビームサイズが増大するのを抑え、また、蓄積電流を増加することによって、KEKBの目標ルミノシティである10×1033cm-2s-1を目指す。
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