ニュートリノ実験に向けビームの速い取り出しに成功!!


 高エネルギー加速器研究機構では、2月3日午後3時10分、陽子加速器からの12GeV 陽子ビームの速い取り出しに成功した。取り出された陽子ビームは新設されたニュートリノ実験用ビームラインで輸送され、午後4時にはニュートリノ発生用標的が置かれるべき位置で確認された。写真はビームラインに置かれたビーム位置モニターで、ビームが当たった場所がスポット状に光っていることを示している。
 本機構では、12 GeV 陽子加速器と250 km 離れた岐阜県神岡町にある東京大学宇宙線研究所のスーパーカミオカンデを用いて、ニュートリノの質量を測定する実験を行うため、1996年度より準備を進めてきた。これには、陽子加速器からの速い取り出し装置、取り出した 12 GeV 陽子ビームをスーパーカミオカンデの方へ方向転換し、標的に当てニュートリノビームを発生するビームライン、発生したばかりのニュートリノビームの強度、組成、エネルギー分布などを測る前置検出器が含まれる。今回の成功により実験準備は山場を超え、最終段階に入った。
 前置検出器の準備・調整も順調に進んでおり、3月末までビームライン及び前置検出器の調整が行われる。この間にスーパーカミオカンデで、つくばから発射されたニュートリノが検出される見込みである。4月からは、本格的にニュートリノ実験がスタートする予定である。

  
主リングから取り出されたビームのスポット
下部スイープ:主リング中のビーム電流
リングを周回しているビームバンチのパルスが
見える。
上部スイープ:取出しキックマグネットの電流値

キッカーマグネットが働き、ビームが取り出され
て、ビームバンチが主リングから消えている。


   E-mail: www@neutrino.kek.jp