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1999年6月1日より開始されたKEKB/Belle実験は、昨年末までに、11.2/fb(インバース フェムトバーン)のデータを収集し、その中に約1千百万個のB中間子対を観測した。収集したデータの中から325例の「CP保存則の破れ」の観測に直接結びつく反応の観測に成功し、「CP保存則の破れ」の大きさ、
の観測結果を得た。この値は、B中間子崩壊において約95%の確率で「CP保存則の破れ」が存在することを示している。また、この結果は小林ー益川理論を強く支持するものである。 ところで、今回我々が得た結果は、高い確率で「CP保存則の破れ」が存在を示唆するものであるが、まだ、科学の世界でいう「発見」といえるものではなく、より高い確率で測定することが要求される。今後、観測データ量を増やし、より確固たる結果を得るべく、現在、懸命な努力が払われている。 尚、KEKBと規模と概念においてほとんど同じ計画が、アメリカのスタンフォード線形加速器センターでも進行している。昨年夏までの状況では、物理解析においては、ほぼ同等の成果を得ている状況であったが、夏以降に、彼等は我々以上のデータ量を収集しているので、近日中に発表されると予想される結果が待たれる。 今後の研究の見通し 今回示した「CP保存則の破れ」についての研究成果は、Bファクトリー計画の始めの1ページであり、研究がまさに始まったばかりであるといえる。B中間子の崩壊で「粒子と反粒子の性質の違い」があることを示すだけでは、素粒子の標準理論である、小林ー益川理論の予言を支持することが言えても、この理論が、唯一の理論であることを示すことはできない。さらに決定的な実験的検証が必要であり、そのためには、B中間子崩壊反応の中で6つの独立な観測をし、それぞれが、小林ー益川理論と矛盾ないことを示すことが求められている。今回の観測はその第一歩である。 我々を始め、世界の素粒子の研究者は、この6つの測定をいかに速く、いかに正確に測定するかを競っている。我々は、これまでの第1の測定に引き続き、第2、第3と次々に測定を広げていくことに邁進するものである。 |
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