オープンディスカッション - 学術情報の共有と今後 - 電子的Bulletin Board と Refereed journalの関係について * refereed journal による掲載は業績として重要。  * 「評論家」の役割に関する議論 --> 公開されるデータが増えるに従い、いったいどれを見れば良いのかを 示す指標が必要になってきている。 --> 論文の「評論家」がビジネスとして成立するかも知れない? --> 情報の洪水の中に埋もれて S/N が悪くなってきているから、お勧め を示してくれると助かる。 --> いい論文かどうかの判断も、結局は研究者個人の能力であって他人 任せにはできないのではないか。 --> いや、そういうことができるのが本来の評論家である。 --> 書籍の評論家を出版社が養う場合、評論を見て本を買う人が出版社にお金 を払うので、結局は評論を利用した人が評論家にその利用料を払っている ことになっている。ネットワーク上の情報は利用者が対価を払う仕組みが まだ機能していない。 * 紙の出版物は今後も無くすことができないだろう。 --> オンライン出版物を印刷して配送するサービスを行う業者がでてくれば よいのではないか。 --> 学情やJICSTでそのようなサービスを行う可能性は? --> 政府の機関にまかせず、自由競争させたほうがよりよいサービスになる。 著作権(コピーライト)に関して。 * コピーライトはどの時点で発生するのか?(見た時?プリントした時?) * 法律との関連なので誰かが解決するのを待っている? * 著作権の問題は現在のプレプリントですでに発生しているはず。 業界内部だけに閉じている事によって、暗黙のうちに認められているように なっているのか。 * WWWの概念自身が新しいものなので、Fair Useの精神で社会的な合意が 得られるよう、各人が努力すべき 物理学会のJournal Letter誌オンライン化について * 物理学会ではWWWでレターの全文と本論文のアブストラクトまでの公開を 計画している。 その原案としては湯川氏から、インターネットを利用すればletterを2wで 公開できる、紙面印刷は辞めたらいいのでは、という提案があった。 この案からWWW公開の部分の計画が進んでいる。 --> プレプリントサーバーと比べて独自性はどこにあるのか。 --> レフェリードJournalであることにあるはずだ。 --> せめて掲載が決まった論文はどんどんWWWに載せてしまったら良い。 --> 果たして投稿から2週間程度でWWW に載せられるのか? --> レフリーを入れたら難しい(しかし質の問題もある) --> エディターの権限を強化すれば可能ではないかと考えている。 --> 早い公開というものがどのくらいJournalの魅力になり得るのか。  --> 早さよりも海外に広く読まれることが魅力では? --> 図書館では本があふれていて、購読する雑誌の種類を減らす傾向がある。 --> WWWで無料公開をするようになって紙面の本誌が売れなくなったら 経済的にはどうしたら良いのか? --> 天文学会でも同様な計画があり、問題となっている。 WWW のデータ保守の問題 KEKの場合 * 所として正式に発信する情報と、ボトムアップ的な情報との 関係。所としてコーディネートする機構を立ち上げ、新しい ホームページの在り方を議論している * この時期になってそういう意見が出てくるということは、WWWが やっとその程度まで普及してきた証拠? (見ていなかった人が見るようになった) --> はたして WWW はTVや電話ほど普及するのか?(しているのか?) * バスの時刻表などはWWWに載っていれば便利だが、個人がメンテするのは 大変。 --> バス会社などがやるようになれば、個人がやる必要はなくなるだろう。 理化学研究所の場合 * ちょうど理化学研究所でもオーソライズされたWWWサーバーを立ち上げる事に なった所である。ただ、現行のような個人的な物も継続出来るように 配慮する事になっている。その方法論についてはまだこれからの議論を 待たなければならない。 情報の公開とプライバシー(機密)保護の関係 * 「official なページ」の話が出ると広報委員会が出て来る。だがなかなか進 まない。 --> 「大学全体の official なページ」の話をすると、自然と、そこから たどれる学部、学科、センター、研究所等のページのフォーマットも 統一しようとかいう話になってくるが、具体的にはなかなか進まなく なる。 * さらに、個人的なページについても、内容に規制をしようという動きが出てく る。[さすがに、検閲するとはまだ誰も言わないが、ガイドラインを作るべ きだとか、宗教的・政治的宣伝が出てきたらどうするんだとかいう議論は すでに出始めている。] * 個人的なページの内容については、もちろん論理的には他のメディアでの発言 と何も違いはないのだけれど、新しい物は敵意の的になりやすいので、潰され ないように慎重にやらなければいけない。かといって自己規制するのも変。 * 個人の情報を何処まで公開できるのか? --> 電話帳をデータベースで公開することすら未だ公認されてない。 研究系と事務系の感覚の違い、事務系がWWWを使おうと言う気になるよ にしていかなければ失敗する危険性がある。 --> 学会でも会員名簿をWWWに公開するとよいという意見と、 それではプライバシーが守れないので反対する意見があり、 結論はでないでいる。 * 誰もが見られるという情報がネットワークの本質であり、相反する問題。 情報を常にメンテナンスするための人員の確保 * 現状でも、高エネ研内のサーバーを保守している事務系の人達は 負担を感じている。 * 保守を続けていくには事務職(秘書など)の方の協力が不可欠なので ぜひWWWの技術面を学んで欲しい。    その他 * 学会の年会のお知らせなどは学会のホーム頁を開いたら、 すぐにでも流したらよいのではない、という意見。 * 情報の公開、データ入力・保守体制の確保、機関や個人情報保護の問題などは 相互に矛盾する面を持ちながらも、それぞれにも問題を有する。しかしそれを 解く努力は避けれないだろうという点は共通認識された。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−