標準理論の限界を探る「希少崩壊の観測増える」
Belle実験チームは昨年3100万個のB中間子反B中間子ペアの崩壊の中から、ごくまれにしか起こらないB中間子の崩壊現象を14個見つけ出し、この崩壊が非常にまれではあるが、確実に存在することを発見した。今回はおよそ2倍のデータを使ってより詳細な解析をした結果、60個を見つけ、崩壊確率を13万回から23万回のあいだに1回と特定できた。この結果は「標準理論」の計算(12〜30万回に1回)とほぼ一致するが、まだ誤差が大きく「標準理論」との整合を評価できるまでには至っていないが、今後この評価が可能となる貴重な観測データである。さらに精度を上げてゆけば、標準理論と整合しない場合に「新粒子」や「新現象」の発見にいたる可能性がでてきた。
KEKB加速器、世界最高記録を更新中
KEKB加速器は2001年4月以来、B中間子の生産能力にあたるルミノシティと呼ぶ性能で世界最高記録を更新し続け、競争相手のアメリカ・スタンフォード大学のPEP-II加速器の性能に、現在では大きく差をつけて独走している。これまでのルミノシティの総計でも、先にスタートしたPEP-IIに急激に迫っており、この秋にも追い越す勢いである。現在、KEKBのルミノシティは世界の衝突型加速器発展の先頭に位置している。こうしたKEKB加速器が実現した高い性能はKEKで独自に開発された設計の優秀さに根ざすものとして、Belle実験の成果とともに世界から高く評価されている。
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