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  プレス・リリース 〜 03-06 〜 For immediate release:2003年11月14日  
 
 
Belle が新粒子発見 −新しいタイプの中間子か−
 
 
2003年11月14日  
高エネルギー加速器研究機構  
 
  高エネルギー加速器研究機構(KEK)で実験中の国際共同研究グループBelleが不思議な性質を持つ新粒子を発見したと発表した。X (3872) と名づけられたこの粒子はおよそヘリウム原子1個分の重さを持ち、生成後およそ1兆分の1のさらに10億分の1秒ほどで他の安定な粒子に崩壊する。我々の日常生活での感覚では極端に短い時間だが、これまでに知られているこの程度に重い粒子の寿命としては異常に長い。
 
  この粒子はKEKのBファクトリー加速器 (KEKB) で生成されたおよそ1億5千万個のB中間子反B中間子対の崩壊の中から36例見つかった。B中間子は多様な崩壊過程を示すが、その中で稀にではあるがJ/プサイ中間子とふたつのパイ中間子とK中間子に崩壊する。そのJ/プサイ中間子とふたつのパイ中間子に崩壊する際の一瞬の間だけX (3872) になる場合があることが突き止められたものだ。
 
  粒子の種類は現在では数百におよび、新たな粒子の発見それ自体はそれほど驚くべきことではない。しかし、今回発見されたX (3872) は、これまで考えられている粒子分類方法では説明するのが難しく、世界中の研究者の間で大きな話題を呼んでいる。最近米国イリノイ州にあるフェルミ国立研究所で稼働中の世界最高エネルギーを出すテバトロン加速器でのCDF実験がBelleグループの発見を確認し、この粒子のことを「不思議な中間子」と位置づけている。
 
  通常、「中間子」と呼ばれる粒子は1個のクォークと1個の反クォークが「強い力」と呼ばれる力で結びつけられている。これまでに見つかっている数百種類におよぶ中間子はすべて、クォークと反クォーク、それに「強い力」の組み合せの違いでうまく説明できる。しかしX (3872) の持つ質量と崩壊時に示す性質はクォーク反クォーク対から出来ているとして説明するのは極めて困難だ。
 
  現在世界中の理論物理学者がいろいろな方法でこの粒子をうまく説明しようと試みている。X (3872) をクォーク反クォークそれぞれ2個ずつから構成される新しいタイプの中間子の最初の例ではないかという極めて興味深い可能性についても検討されている。
 
  この発見の詳細は物理学研究者の間では最も権威のある学術雑誌のひとつであるフィジカルレビューレターズ誌に近く掲載される予定だ。
 

図1図2
 
 
【図1】【図2】
観測された事象の数とJ/プサイ中間子とふたつのパイ中間子の系が持つ質量の関係を見ると、3.872GeVのところに小さなピークがみられる。3.686GeVにある大きなピークは、すでに存在が確立され同じように崩壊するプサイープライム (3686) 。   X (3872) はK中間子とともにB中間子の崩壊で生成される。X (3872) は生成後すぐにJ/プサイ中間子とふたつのパイ中間子に崩壊する。  
 
【資料】
  発表資料 PDF    (22 Mbyte)
【関連サイト】
  Belleグループ    <http://belle.kek.jp/>
 
 
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proffice@kek.jp
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