(注1) |
日米科学技術協力事業の高エネルギー物理学分野は1979年に文部省高エネルギー物理学研究所(当時)と米国エネルギー省高エネルギー・原子核物理部(当時)を中心機関として始められた。米国フェルミ国立加速器研究所のテバトロン加速器に設置されたCDF測定器を用いた「陽子・反陽子衝突による重い粒子の検出」実験はその事業の一つであり、日米伊の国際共同実験として1979年に測定器建設が始められ、現在はアジア、米国、ヨーロッパから60の研究機関が参加する国際共同実験として実施されている。日本からは、筑波大学物理学系を中心に、大阪市立大学大学院理学研究科、岡山大学理学部、早稲田大学理工総合研究センター、高エネルギー加速器研究機構、京都教育大学理学部、近畿大学理工学部、長崎総合科学大学工学部、福井大学工学部が参加している。 |
(注2) |
物質の基本となる素粒子を記述する理論の一つ。1973年の発表当時には基本粒子であるクォークは3種類のみが発見されていたが、粒子と反粒子の性質の違いをあらわす「CP(シーピー)対称性の破れ」という現象を説明するために6種類のクォークの存在を予言し、その後、1974年にチャームクォーク、1977年にボトムクォーク、1995年にトップクォークが発見された。 |
(注3) |
電荷を持たない中性の粒子では、粒子と反粒子が生成される際の状態と崩壊する際の量子力学的な固有状態が異なることが知られている。この時、固有状態の質量に差があると、粒子反粒子振動が起きる。クォークでできたK中間子やB中間子などの生成と崩壊の間の関係は小林益川行列で記述される。 |
(注4) |
1ピコ秒は1兆分の1秒。 |
(注5) |
3世代6種類のクォークが電荷の変化を伴う弱い相互作用をする時、アップ、チャーム、トップがダウン、ストレンジ、ボトムと結合するが、この時、世代間の混合が起きる。この混合の様子を、それぞれのクォークが結合する3行3列の行列で表したものを小林益川行列という。 |