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プレス・リリース 〜 07-01 〜 For immediate release:2007年01月24日 |
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J-PARCリニアックが所期のビーム加速エネルギー目標値を達成 − 181MeVまでのビーム加速に成功 − |
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J-PARCセンター |
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独立行政法人 日本原子力研究開発機構(理事長 岡俊雄)及び大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(機構長 鈴木厚人)の共同組織であるJ-PARCセンター(センター長 永宮正治)は、平成13年度から茨城県東海村で建設を進め、平成20年度完成を目指して整備している大強度陽子加速器(J-PARC;Japan Proton Accelerator Research Complex)施設のリニアック加速器において、1月24日、所期の性能である181MeV(1億8千100万電子ボルト、光速の約50%のスピード)のエネルギーまで負イオン化した水素ビームを加速することに成功したことを確認しました。 J-PARCのリニアックでは、装置の小型化やビームの高品質化のための非常に斬新な設計が独自に開発されており、それらはアメリカ、イギリス、ドイツ、中国における類似の将来計画でも採用されるなど、今後の世界標準となっております。そのため、今回のリニアック加速の成功は世界的な注目を浴びています。 リニアックはJ-PARCの初段に位置する約120mの直線型の加速器であり、大量のイオンを181MeVのエネルギーまで加速し、平均電流として200μAとすることを目指しています。 今回は、初めて181MeVのエネルギーにまでビームを加速したことが確認されたもので、その際の平均電流は0.25μAでした。 今後は、平均電流の所期の目標である200μAを達成するためのビーム調整を続けつつ、今年の秋頃からはリニアックからのビームを3GeVシンクロトロンへ入射して同シンクロトロンのビーム調整を開始し、平成20年度からは50GeVシンクロトロン等のビーム調整が予定されています。そして平成20年秋以降、中性子や中間子、ニュートリノなどを用いた種々の最先端科学分野の研究者による研究利用を順次開始する予定です。 J-PARCは、中性子を利用した研究施設としては米国オークリッジ国立研究所のSNS(Spallation Neutron Source)等と並ぶ世界最高性能の研究施設、またK中間子を利用した研究施設としては世界で唯一、さらにニュートリノ研究施設としても世界有数の性能を誇る、我が国の21世紀の科学や技術の研究・発展に大きく貢献する最先端の研究施設です。中性子や中間子などの様々な二次粒子を利用して、原子や原子核、素粒子の極微の世界を探求する研究は、物理学、化学、生物学などの基礎科学から、ライフサイエンス、工学、情報・電子、医療など、広範な研究分野への利用が期待されています。
[用語解説] リニアック(Linac)と円形加速器 加速空洞を直線状(リニア)に並べ、粒子を直線的に加速する加速器の総称で、線形加速器とも呼ばれる。この方式では定常的にビームを取り出せるので、多くの粒子(大電流)の加速に適している。 しかし、粒子は特定の加速空洞を1回しか通らないために、高エネルギー(粒子のスピードを高める)とするには数多くの空洞が必要となり、長い装置が必要になる。このため、高エネルギーとするには、同じ加速空洞を粒子を何度も通しながら加速することができる円形加速器(シンクロトロンなど)が用いられる。J-PARCのような高エネルギー大電流加速器の設計においては、リニアックと円形加速器を組み合わせ、効率的な加速を行う。
[補足説明] 負水素イオン 原子・分子に電子が余分に付着し、全体として負に帯電したものを一般的に負イオンと言い、特に水素原子の負イオンのことを負水素イオンと呼ぶ。 大量の陽子をリニアックからシンクロトロンへ入射することは技術的に難しいため、シンクロトロンへ入射する直前に負イオンの電子をはぎ取り、陽子にして入射することが必要になる。 負イオンの必要性 ビームを3GeVシンクロトロン(リング型加速器)内に磁場を用いて効率良く外から合流させるためには、リニアック(線形加速器)から入射するビームと既に3GeVシンクロトロン内を周回しているビームを異なる荷電状態にする必要がある。これは、違う方向から来る入射ビームと周回ビームが同じ荷電状態であると、磁石によって同じ方向に曲げられてしまうので、2つのビームをうまく合流させることが出来ないからである。よって3GeVシンクロトロンには負イオンビームを入射し、その直後に正イオン(ここでは陽子)に変換してリングを周回させる。
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