【用語解説】 |
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*1 |
X線表面回折法 |
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多くの物質の原子レベルでの構造は、X線回折を用いて明らかにされている。この手法を応用して、表面付近の構造をも明らかにできる。その測定法をX線表面回折法という。 |
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巨大磁気抵抗効果、超巨大磁気抵抗効果 |
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磁場により電気抵抗率が変化する現象を「磁気抵抗効果」という。普通の金属では、変化率は数%である。「巨大磁気抵抗効果」とは、これが数十%に及ぶもので、パソコン等のハードディスクには巨大磁気抵抗効果を持つ物質が使われている。現在の物性物理学分野では、更に100倍〜100万倍大きな「超巨大磁気抵抗効果」の研究が進められている。なお、1987年に巨大磁気抵抗効果を発見したアルベルト・フェールト(Albert Fert)とペーター・グリューンベルグ(Peter Grunberg)は、2007年にノーベル物理学賞を受賞している。 |
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半導体技術 |
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コンピュータはトランジスタやダイオードの集合体であり、これらは2種類の半導体を接合してできている。そのため半導体表面や界面、薄膜の研究は、応用の観点で重要であり非常に盛んに行われている。
半導体とは、電気を通す導体や電気を通さない絶縁体に対して、それらの中間的な性質を示す物質である。今日の電子工学の基礎をなす半導体素子、あるいはその集積体であるICといったものは半導体の性質を利用して作られている。 |
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ムーアの法則 |
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インテル(Intel Corporation)の創始者の一人であるゴードン・ムーア(Gordon E. Moore)が1965年に提唱したもので、コンピュータの処理能力の目安になる集積回路上のトランジスタの数は、18ヶ月ごとに倍になるというもの。半導体産業の指針的な役割を果たしている。 |
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塊、薄膜、表面・界面の研究 |
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半導体デバイスは、シリコンの塊としての性質、薄膜の性質、表面・界面の性質全てを利用して今日の性能を発揮している。シリコンがこれだけ広く使われている理由のひとつは、その表面に天然の絶縁被膜であるSiO2が出来ることである。このSiO2とSiの界面に欠陥が入らないという特性が実用上非常に重要で、シリコンの半分を炭素で置き換えた素材(シリコンとダイヤモンドの中間のようなもの)は、やはりSiO2が表面にできるものの、界面に欠陥が多く入ってしまうために実用に耐えない。また、集積回路に不可欠な微細加工の段階では、デバイスは薄膜として作製される。この薄膜の完全性や特性が劣っているようでは全体としてよい性能は発揮できない。塊としての電気伝導や熱伝導だけではなく、これらの“微細加工した結果の構造体”の特性を知ることが、実用化という観点からは重要である。 |
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*6 |
La0.5Sr1.5MnO4 |
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超巨大磁気抵抗効果の研究に用いられるマンガン酸化物の一種。ランタンとストロンチウムとマンガンと酸素の化合物。 |
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電子的表面、化学的表面 |
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化学的表面とは、固体を形作っている原子と空気あるいは真空との境目を言う。つまり、普通の意味の表面である。それに対し、ここで言う電子的表面とは、電子軌道が作る固体状態である“軌道秩序状態”と“軌道無秩序状態”の境目をさしている。
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*8 |
軌道秩序状態 |
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電子は原子核の周りで雲のように広がっており、その雲の広がりを電子の“軌道”と呼ぶ。軌道は球状とは限らず、長細く伸びている事も多い。そのような“長細い軌道”が互い違いに配列した状態を軌道秩序状態といい、そうでない場合を軌道無秩序状態という。 |