【用語解説】 |
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※1 |
短寿命核加速実験装置(TRIAC) |
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原子核反応により生成した短寿命核を質量分離した後に専用の加速器を用いて加速し、実験に供する装置。ウラン標的と陽子ビームによる核分裂反応を利用することによって、多種多様な放射性同位元素ビームが供給出来るようになった(参考図2)。
TRIACは、放射性同位元素を生成しイオン化する生成標的・イオン源(参考図3)と同位体分離装置、電荷増幅器(参考図4)、2種類の線形加速器(参考図5)からなる大型装置である。タンデム加速器からの陽子などの高エネルギービームとウランなどの標的との原子核反応で生成された放射性同位元素をイオン化し、同位体分離装置で質量分離、電荷増幅器でイオンの価数を変換した上で線形加速器で核子あたり最大1.5MeVまで加速する。インジウム、バリウムの短寿命核は電荷増幅器により、それぞれ16価と20価のイオンに変換される。
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※2 |
放射性同位元素 |
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原子核を構成する陽子数(原子番号に等しい)が同じであるが、中性子数が異なる原子核を同位元素と呼ぶ。同位元素の中でも、不安定なために、安定な原子核に崩壊する性質を持つ同位元素を放射性同位元素と呼ぶ。同位元素を区別するため、元素記号と原子核の質量数(陽子数と中性子数の和、左肩の数字)を明記して113In(安定な同位元素)、123In(放射性同位元素)のように表す。放射性同位体あるいは放射性核種ともいう。 |
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※3 |
短寿命核 |
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寿命の短い放射性同位元素で、ここでは秒以下から数時間の寿命で崩壊する放射性同位元素を指す。123In(インジウムの放射性同位元素:質量数123、半減期6.0秒)、143Ba(バリウムの放射性同位元素:質量数143、半減期14.3秒)は、それぞれ電子線を放出して123Sn(スズ)と143La(ランタン)に崩壊(β- 崩壊)する。 |
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※4 |
タンデム加速器施設 |
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原子力機構原子力科学研究所にある世界最大級の静電加速器。イオン源から1価の負イオンを正に帯電した高電圧ターミナルに向けて加速し、高電圧ターミナルに設置した荷電変換装置でイオンの電子をはぎ取り、多価の正イオンにする。高電圧ターミナル内に設置した電磁石でイオンの方向を180度変えて、もと来た方向に再加速することで高エネルギー加速を可能にしている。多種類の加速イオンが得られること、加速イオンのエネルギー精度が高いことなどが特徴である。 |