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last update:09/04/20  
  プレス・リリース 〜 09-07 〜 For immediate release:2009年4月20日
 
 
創薬に威力を発揮する新しいビームラインが稼動

 
高エネルギー加速器研究機構 
アステラス製薬株式会社 
 
【概要】
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(以下、KEK)物質構造科学研究所 放射光科学研究施設(以下、フォトンファクトリー)が、アステラス製薬株式会社(以下、アステラス製薬)の受託研究により開発を進めてきたタンパク質X線結晶構造解析用ビームライン(AR-NE3A)が、2009年4月20日より稼動を開始する。

フォトンファクトリーは、創薬研究をより効率的に進めるため、大強度のX線による迅速なX線回折データ収集が可能となるようAR-NE3Aの設計・開発を行った。更に測定の自動化を推進するための技術開発も行い、AR-NE3Aにおいて1日当たり200個以上の試料の連続測定及びデータ処理を実現した。

AR-NE3Aは、通常のタンパク質結晶解析用ビームラインとしても使用可能であり、稼動後はアステラス製薬だけでなく、一般の大学・公的研究機関や他の民間企業にも公開する。

【背景】
タンパク質の立体構造を基にした薬剤設計(Structure Based Drug Design)は、新薬開発における大変有用な手段である。近年では結晶構造解析手法の進歩に伴い、標的となるタンパク質に対し、あらゆる化合物との複合体の構造解析を行い比較することで、化合物によりタンパク質の活性を阻害する仕組み(または促進する仕組み)を総括的に理解することが可能になってきた。更なる理解促進のためには、より迅速に精確な回折データの収集を行うことが第一であり、大強度のX線ビームを安定に供給できる放射光ビームラインの実用化が希求されて来た。

【開発内容】
創薬研究を強力に推し進めるために、AR-NE3Aはフォトンファクトリーにある既存のタンパク質結晶構造解析ビームラインよりも強力なX線が試料に照射できるよう設計されており、高速高感度のCCD検出器と合わせてより短時間でのデータ収集が可能である。更に、自動データ収集・処理を実現するための試料交換ロボットやソフトウェア開発も進め、1日あたり200個以上の試料について、ユーザーの手を介することなく自動的にデータセットの収集及びその解析を行うことが可能となっている。

【今後の展開】
AR-NE3Aは、ある一定の割合のビームタイムがアステラス製薬の創薬研究の目的として専有的に使用される。残りのビームタイムは、大学・公的研究機関からのユーザーによる共同利用実験ならびに民間企業による施設利用実験に供され、創薬の分野のみならず生命科学全般にわたって広く貢献することが期待される。
 
 
 【関連サイト】
放射光科学研究施設(フォトンファクトリー)のwebページ
アステラス製薬株式会社のwebページ
【本件問合わせ】 大学共同利用機関法人
高エネルギー加速器研究機構
 物質構造科学研究所
  放射光科学研究施設長
  構造生物学研究センター長
   教 授  若 槻 壮 市
    TEL:029-864-5631
  放射光科学研究施設
   助 教  山 田 悠 介
    TEL:029-864-5642
   広報室長  森 田 洋 平
    TEL:029-879-6047
  アステラス製薬株式会社
 広 報 部
    TEL:03-3244-3201
 

 
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図1 :KEKキャンパスの航空写真(左)とPF-ARの平面図(右上)。新ビームラインは、PF-ARのNE3セクション(赤色で示した部分)に設置された。オレンジ色で示されたNW-12Aは、既存のタンパク質結晶解析用ビームラインの1つである。右下図は完成したビームラインハッチを後方より写したもの。
 

 
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図2 : 実験ハッチ内の実験装置。回折データ収集を行う実験ハッチ内には、試料を的確にX線に照射させる回折計(中央)、約300個の試料を保管し自動的に順次回折計上の試料を交換する自動結晶交換システム(左) 、試料からの回折X線を精度よく測定するCCD検出器(右)などが設置されている。
 

 
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表1 : 2009年度からのビームタイム運用。
 

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