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※1 |
光陰極直流電子銃(フォトカソードDC電子銃) |
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半導体や金属の表面にレーザー光を照射した時に表面から飛び出す電子を直流電界で引き出す装置。フォトカソード電子銃は、電子パルスの時間構造をレーザーパルスで制御でき、また、運動量とエネルギーのそろった電子を生成できることから、熱電子銃(フィラメントを熱して電子を引き出すために電子ビームが大きな熱運動量をもってしまう)に比べてエミッタンスの小さな電子ビームを生成できる利点がある。ERLのフォトカソード電子銃では、半導体であるGaAs(砒素化ガリウム)を用いる。 |
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※2 |
エネルギー回収型リニアック |
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高周波を使って電子を加速する超伝導加速器を用いて加速し、高エネルギーとなった電子ビームを光の発生に利用した後、同一の加速器を「減速器」として動作させ、電子のエネルギーを高周波エネルギーとして回収し、後続電子の加速に再利用する技術である。高周波で動作する超伝導加速器では、電子を入射するタイミングを選ぶことで加速、減速のどちらも可能であることを利用している。 |
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※3 |
空間電荷効果 |
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電子ビームには多数の電子が含まれる。マイナスの電荷を持つ電子には互いに反発する力が働く。これを空間電荷効果という。空間電荷効果が強く働くと、ビームの飛行に従って徐々に発散が大きくなる、つまり、ビームのエミッタンスが大きくなる現象が起こる。電子を高いエネルギーに加速することで、空間電荷効果を弱め、エミッタンスの増大を抑止することができる。 |
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※4 |
電界放出電子 |
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物体の表面に強い電界がかかった時に、表面から引き出される電子。表面に微小な凹凸があったり、付着物があったりすると、局所的に多数の電界放出電子が生じる。 |
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※5 |
クラック、パンチスルーによるセラミック破損 |
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局所的に多数の電界放出電子がセラミック表面に当たると、セラミックが帯電し強い静電気を持つようになる。この静電気が放電する時にセラミックを破損する場合がある。円筒形のセラミックが軸方向に割れる場合(クラック)と径方向に貫通する場合(パンチスルー)がある。 |
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※6 |
コンディショニング |
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電子銃に印加する電圧を徐々に上げていく作業。小さな放電を繰り返しながら、電極表面の微小な凹凸や付着物を取り去り(焼き飛ばし)、電極の表面を清浄かつ滑らかに整える。いったんコンディショニングを済ませれば、コンディショニングを行った電圧までは容易に繰り返して印加できる。 |