スイス・ジュネーブ郊外の欧州合同原子核研究機関(CERN)に建設した大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider:LHC)では、9月10日17時28分頃(日本時間)に周長27kmの円形の加速器に4500億電子ボルト(0.45TeV)の陽子ビームを入射し、ビームの周回に成功しました。
LHCではこの後約2ヶ月をかけて、ビームの加速試験と衝突の調整を行い、年内には10兆電子ボルト(10TeV)での陽子ビーム同士の衝突実験を開始します。
LHCで粒子の反応を検出する4つの大きな国際共同実験の1つ、アトラス(ATLAS)実験には、世界中の37の国と地域から約2,200人の研究者が参加しています。日本からはKEK、東京大学素粒子物理国際研究センター、神戸大学など、15の研究機関の研究者が参加しています。
この実験では、宇宙のビッグバンの1兆分の1秒後の超高エネルギー状態を実験室内で再現し、物質に質量が生まれる仕組みを担うヒッグス粒子や、宇宙の暗黒物質の候補とされる超対称性粒子の発見などを目指しています。
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