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last update:09/11/26  
物構研シンポジウム開催
 
 
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2009年11月17、18日の2日間、「物構研シンポジウム」がつくば国際会議場、エポカルにて開催されました。このシンポジウムは昨年度の第1回に引き続き、今後毎年度開催が予定されている物質構造科学研究所(物構研)全体のシンポジウムです。今回は特に「放射光・中性子・ミュオンを用いた表面・界面科学の最前線」と題しまして、最近世界的に注目されている物質の(空気や真空に接している)表面や(物質と物質の境界である)界面にスポットが当てられ、137人の参加者の間で活発な議論が行われました。
 
この分野が重要であることはフェール、グリュンベルクの両氏が「巨大磁気抵抗の発見」の研究で2007年度のノーベル物理学賞賞を受賞したことからも理解されると思います。この研究は二つの互いに接した物質の磁性の向きが「揃っている」・「逆に向いている」の二つの場合でその間を通過する電子の通りにくさ(電気抵抗)が変化することを見出し、その原理は今私たちが日常使っているパソコンのハードディスクのヘッドに利用されています。今後このような考え方でますます研究が発展すると考えられ、既に専門家たちはこれをスピントロニクスと呼び始めていますが、そこで特に重要なのは「どのような表面・界面なのか?」を原子レベルで知ることであり、そこで物構研の得意とする3つのプローブ、放射光・中性子・ミュオンが威力を発揮します。
 
今回のシンポジウムは4つのセッションに分かれていました。まず最初のセッション「スピントロニクス材料ー次世代デバイスの開発を目指して」では上述の観点で議論が行われ、雨宮健太氏(物構研)や藤森淳氏(東大)により放射光を使って表面・界面の磁性を深さごとに測る新しい手法について説明がありました。また、実際にこのようなデバイスを開発された湯浅新治氏(産総研)から、開発の過程で放射光による原子レベルでの構造解析が重要であるとの実例を交えた報告がありました。
 
次のセッションは「強相関薄膜 ―機能と構造―」と題して行われ、特に界面上に元々の物質とは異なった性質が表れることについて議論がありました。いわゆる強相関系(電子がクーロン斥力で強く相互作用し合う系)同士が接して界面を作った場合に元々の物質は絶縁体であるにもかかわらず界面が金属になるという、新しい現象について澤彰仁氏(産総研)、組頭広志氏(東大)から報告がありました。
 
上記二つのセッションでは主に固体の表面・界面について話し合われましたが、「ソフトな界面の構造と物性 ―物質の生命をつなぐもの―」と題したセッションでは生体内に存在する界面、つまり、「膜」について議論が行われました。このような膜は脂質分子およびその中に埋め込まれた部位(ドメイン)から出来ています。今井正幸氏(お茶大)は膜の中のドメインの動きやすさ(拡散係数)の中性子実験・シミュレーションの両面からの解析について講演をされました。
 
物構研においては「高圧物性」も重要なテーマの一つになっています。これは地球内部の性質を明らかにしようという研究動機とも結びついており、「高圧物性と地球惑星科学」と題したセッションでセッションリーダーの近藤忠氏(大阪大)により地球の内部構造に関する全般的な説明がありました。このテーマに対しても放射光・中性子は活用されており、それぞれ具体的な報告がありました。
 
 
関連サイト: 物構研シンポジウム09のwebページ
物質構造科学研究所のwebページ
 
 

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