2月21日東京において小林・益川両先生のノーベル物理学賞受賞を記念したシンポジウム「小林・益川理論とその検証」を開催しました。
初めにKEK機構長の鈴木厚人氏が「対称性について身近に感じて欲しい」と挨拶した後、KEK素粒子原子核研究所教授の岡田安弘氏が「素粒子と日本のノーベル賞」と題し、20世紀の素粒子物理と日本人の貢献について紹介しました。続いて、2008年ノーベル物理学賞受賞対象となった小林・益川理論の提唱者であるKEK特別栄誉教授の小林誠氏が、「六元模型ができるまで」と題し、六元模型の提唱とその検証、今後への期待について素粒子研究の発展の歴史を振り返りながら講演しました。また、東京大学大学院理学系研究科教授の相原博昭氏は、「Bファクトリー実験とその将来」と題した講演で、Bファクトリー実験による小林・益川理論の検証と今後の展望について述べました。
続いて、上記の3名に評論家の立花隆氏、KEK加速器研究施設教授の生出勝宣氏が加わり、「標準理論の向こう側」と題したパネルディスカッションが行われました。この中で生出氏は、世界最高性能を達成したKEKB加速器の全貌を紹介しました。また、茨城県東海村に建設中の大強度陽子加速器施設J-PARCや、ヨーロッパCERNで行われるLHC実験についてなど、素粒子物理の今後の展望についての対談が行われました。
小林・益川シンポジウムは昨年3月に引き続き2回目の開催となりましたが、昨秋のノーベル物理学賞受賞後初の東京講演ということもあり、会場前には開場を待ちきれないといった様子の人々で長蛇の列ができるという反響ぶりでした。およそ1,100名の来場者が世界最先端の素粒子の世界の話に熱心に耳を傾けていました。
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