平成21年9月7日、東京工業大学の富田文菜博士研究員が、優れた研究成果を挙げた若手の女性科学者をたたえる「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を受賞しました。授賞式は日本工業倶楽部会館で行われ、富田氏を含む4名の受賞者それぞれに賞状が授与されました。
富田氏は東京工業大学大学院理工学研究科物質科学専攻博士課程在学中に腰原伸也教授の研究室に在籍し、日本科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業の一環として、JSTとKEK物質構造科学研究所の共同研究により推進された「腰原ERATO非平衡ダイナミクスプロジェクト」に従事しました。そしてタンパク質分子内を生命活動に不可欠な小分子が輸送される際に、タンパク質分子自身があたかも「深呼吸」をするように時々刻々と構造変形する様を、KEK物質構造科学研究所の放射光科学研究施設PF-ARのビームラインNW14を用いて直接観測することに成功しました。生理活性な分子を取り込んだり、輸送・貯蔵する際に、タンパク質が大きく形を変えるメカニズムの一端を解明しただけでなく、タンパク質・酵素の機能解析、創薬などの基本であるタンパク質分子構造の概念に変更を加えて行く重要な基礎研究結果となりました。富田氏は現在も共同研究員としてKEKに常駐し、放射光科学研究施設の足立伸一准教授らとともに、タンパク質の構造ダイナミクスに関する研究を引き続き精力的に進めています。
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賞状と花束を手にした東京工業大学の富田文菜博士研究員
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