2009年のノーベル化学賞はリボソームの構造機能解析を行ったVenkatraman Ramakrishnan(ベンカトラマン・ラマクリシュナン)博士(英国:MRC分子生物学研究所)、Thomas Steitz(トーマス・スタイツ)博士(米国:エール大学)、Ada Yonath(アダ・ヨナット)教授(イスラエル:ワイツマン研究所)の三氏が受賞しました。受賞者の中の一人、Ada Yonath教授は、リボソームの構造解析に必要な精製、結晶化に長年取り組み、KEKのフォトンファクトリーなどを利用して大きな貢献を果たしてこられました。
生命の設計図はDNAに代表される核酸に記されていて、それが親から子へ伝えられることで、生命は次の世代へとその命をつなげていきます。しかし、実際に生命活動を担っている主役はタンパク質です。DNA上の遺伝情報はいったんRNAへ転写され、さらにタンパク質へと翻訳されます。そのタンパク質こそが、生命を生命たらしめるさまざまな反応の担い手なのです。
DNA上に記された情報がどのようにして生命現象を直接担うタンパク質に変換されるかという「遺伝情報の転写・翻訳」は、極めて根源的かつ重要な過程です。このうちの転写過程について、そこで中心的な役割を果たすRNA合成酵素の構造機能解析を行ったRoger Kornberg博士に対し、2006年のノーベル化学賞が授与されています。
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Ada Yonath教授(左)。1992年につくば市で開催されたBSR92(第4回生物学と放射光国際会議)バンケットにて、米国コロンビア大学Wayne Hendrickson教授(中央)、仏ラウエ・ランジュバン研究所Joseph Zaccai博士(右)とともに。 |