2010年11月4日
10月25日(月)、KEK-TRIUMF科学シンポジウムがバンクーバーで開催されました。
本シンポジウムは両機関の展望や、現状行われている研究協力の現状・成果について共通認識を形成することにより、さらなる協力の可能性を検討することを目標とするとともに、両機関のトップを含めた、定期的な公式コミュニケーションの場を持つことにより、両機関間の相互理解と密接な協力関係の維持促進を目的としたもの。昨年7月に日加修好80周年記念事業の一環として、KEKとTRIUMF研究所(カナダの国立素粒子原子核物理研究所)が合同で開催したシンポジウムにおいて、ナイジェル・ロッキーア TRIUMF所長と鈴木厚人KEK機構長との間で、定期的なシンポジウムの開催が合意されたことを受け、第2回目として開催されました。
研究者を中心に約80名が参加した本シンポジウムはブリティッシュ・コロンビア州 中小企業技術経済開発省副大臣のDon Fast氏による歓迎の辞で始まりました。午前の部では、ロッキーア所長及び鈴木機構長から、両機関で推進する研究プロジェクトの現状と今後の展望が、そして日加間の国際協力研究プロジェクトの代表例として、T2K実験※1、ATLAS実験※2、超冷中性子研究※3、MuSR※4の各プロジェクトについての報告がありました。午後の部では、KEKB加速器、ニュートリノ物理を研究する大型地下施設「SNOLAB」や次世代の電子・陽電子衝突型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」等における加速器と測定器開発の現状や今後の計画について、両機関からの報告と意見交換が行われました。
シンポジウムの締めくくりとして、今後の国際的な研究活動を推進する枠組みの在り方や、基礎科学と応用科学のバランスといった問題について、(独)日本学術振興会(JSPS)ワシントン事務所長の菅原寛孝元KEK機構長をチェアに迎えてパネルディスカッションを行いました。パネリストらの討論のみならず、出席者からも活発に意見や質問が飛び交い、盛況のなかシンポジウムは幕を閉じました。