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last update:10/03/24  
CERNがLHC加速器での7TeV(7兆電子ボルト)初衝突の日を決定
 
CERNプレスオフィスより 
 
ジュネーブ 2010年3月23日:
大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider : LHC)で、3.5TeVの世界最高エネルギーでのビームを定常的に周回できるようになったのを受けて、欧州合同原子核研究機関(CERN)はLHCでの研究プログラム開始の日程を決めた。重心系エネルギー7TeVでの初衝突(3.5TeVのビーム同士の衝突)を3月30日に試みる。
 
「LHCでビームを双方向に3.5TeVまで加速することに成功し、我々は物理プログラムをまさに開始できるところまできました。」CERNの加速器部長のスティーブ、マイヤース氏は言う。「とは言っても、衝突をさせるまでにはまだまだたくさんの手順が必要です。2つのビームを衝突するようにそろえること自体が大変なことです。それは、大西洋の両側から針を打ち出して、真ん中で衝突させるようなものです。」
 
本日から3月30日までの間に、LHC加速器チームは、3.5TeVのビームを使って、ビーム制御システムの調整と、軌道から外れるビーム粒子から実験グループの測定器を保護するためのシステムの調整を行う。衝突実験を始める前にこれらの制御システムを完璧にしなくてはいけない。
 
「LHCはスイッチをひねれば動くというタイプの装置ではない。」とロルフ・ホイヤーCERN所長は言う。「装置はよく動作しているが、まだ試験運用期間だと言える。最初の衝突を試みるというのもまさにその試験の一つであり、実際に衝突するまでには何時間も或いは何日もかかるかもしれない。」
 
前回CERNが新しい加速器を運転開始したのは、1989年の大型電子・陽電子衝突型加速器(LEP)であったが、そのときは最初の衝突を記録するまでに3日を費やした。
 
今回のLHCの運転は、2009年11月20日の0.45TeVでのビーム周回から始まった。そこから次々と課題をクリアし、11月23日に両周りのビーム周回に成功、11月30日には世界最高エネルギーの1.18TeVに達した。
 
2009年の運転を12月16日に終了するまでの間に、重心系エネルギー2.36TeVでの初衝突を実現し、さらに、多くの衝突データを収集できた。2009年の運転で、LHCでの主な4実験ALICE(アリス)、ATLAS(アトラス)、CMS(シーエムエス)、 LHCb(エルエッチシービー)は百万事象以上の衝突データを記録し、そのデータを解析するために世界中に配置したLHCのコンピューターグリッドに順調に分配した。最初の物理論文はすぐに発表された。機器調整のための短い運転停止期間のあと、2010年2月28日からビームの周回を再開し、3月19日には、3.5TeVまでの加速に成功した。 7TeVでの衝突を安定して行えるようになれば、2010年末に短い休止期間をおいた後に、18〜24ヶ月間、このエネルギーで連続運転する。この期間に収集するデータからは、LHCによって始めて探索が可能になる領域での研究を進めることができ、LHCは名実ともに高エネルギー素粒子物理学研究での最前線の施設となる。
 
原文:CERN HP掲載 3月23日付プレスリリース
"CERN sets date for first attempt at 7 TeV collisions in the LHC"
http://press.web.cern.ch/press/PressReleases/Releases2010/PR06.10E.html
 
 
関連サイト: CERN(英語)
http://public.web.cern.ch/public/
  LHCアトラス実験
http://atlas.kek.jp/
 
 

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