2010年10月19日
画像提供:横浜市立大学 橋本博
横浜市立大の橋本博助教、三重大学の田丸浩准教授らの研究チームは、卵子や精子など生殖細胞の形成にかかわるタンパク質Nanos(ナノス)の立体構造をフォトンファクトリー(PF)BL-5AとPF-ARのNW12Aを用いたX線結晶構造解析により明らかにしました。
私たちヒトを含む動物は、1個の受精卵が分裂してたくさんの細胞から成る個体になります。個体を作っている体細胞に対して、一部の細胞は、次世代につながる生殖細胞となります。Nanosは生殖細胞への分化のスイッチを担うタンパク質であり、ヒトを含む多くの動物細胞に存在しています。 研究グループは、モデル生物のゼブラフィッシュのNanosの結晶化に成功し、多くの生物で共通していて生殖細胞の形成に根源的にかかわると考えられている約50個のアミノ酸から成る部分の立体構造を解明しました。生殖細胞へのスイッチを担うNanosの異常は不妊に直接関係するため、今回の構造解析によって不妊の原因解明や不妊治療への可能性が開かれます。
この結果は10月15日付のEMBO Reports(欧州分子生物学機構の学術誌)にオンライン発表されました。