2011年7月21日
2011年6月9日から14日にかけて米国シカゴで開催された、Technology and Instrumentation in Particle Physics 2011(TIPP 2011)において西田昌平KEK助教、有田義宣 名古屋大学博士課程後期1年の2名が最優秀ポスター賞(TIPP2011-Best Poster Award)を受賞しました。
TIPPは素粒子物理学における測定器開発の重要な国際会議であり、本ポスター賞はTIPPのポスター発表の中から最も優れた発表を行った研究者3名に与えられるものです。
受賞対象となった西田氏のポスター発表は"Readout ASIC and electronics for the 144ch HAPD for Aerogel RICH at Belle2"であり、 Belle II 検出器に組み込まれる予定のASIC(Application Specific Integrated Circuit)と呼ばれる装置の開発に至る過程や設計について紹介しました。ASICは、粒子識別装置の1つであるA‐RICH(Aerogel RICH)検出器で検出されたデータを読み取るHAPDからの信号を増幅しデジタル化を行う情報処理装置で、Belle II 検出器のデータ取得に重要な役割を果たします。
一方、有田氏は"Verification of focusing system for Time Of Propagation counter"との題で、もう一つの粒子識別装置であるTOP(Time Of Propagation)カウンターと呼ばれる検出器の時間分解能を高めるため設置される色分解集光ミラーにより、どのくらい時間分解能が向上するのかについて試験機を用い行った検証結果を紹介しました。時間分解能の向上は、TOPによる粒子識別にとって要となるものです。
今回、西田氏と有田氏の受賞により、最優秀ポスター賞3名のうち2名がBelle II CollaborationのメンバーとしてSuperKEKBに関わる研究者となりました。