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鈴木機構長、加速器学会で特別講演

2011年8月9日

8月1日(月)から3日(水)にかけて、つくば国際会議場(エポカルつくば、茨城県つくば市)で第8回日本加速器学会年会が開催されました。8月1日に行われた特別講演で、鈴木厚人KEK機構長が「加速器科学への期待」と題して講演を行いました。

加速器による素粒子の研究では、「質量の起源」「消えた反物質」「暗黒物質の正体」「暗黒エネルギーの正体」を4つの大きな謎として挙げ、その解明が必須であると指摘。その実現のために推進している、KEKB加速器、Belle測定器をアップグレードする「SuperKEKBプロジェクト」と、その後に続く「国際リニアコライダー(ILC)構想」、さらにJ-PARC(大強度陽子加速器研究施設)におけるT2K実験の推進やスイス・ジュネーブでのLHC実験への参加など、KEKの取組みを紹介しました。

また、物質構造の探求を行う加速器については、これまでの性能を大きく上回る高輝度性と短パルス性をもつ放射光を生み出す次世代放射光源、エネルギー回収型ライナック(ERL)と、共振方自由電子レーザー(XFEL-O)への期待を語りました。

鈴木機構長は「宇宙を解明し、物質の構造を探索する加速器は、知の創造源であるとともに、最先端技術の宝庫でもあります。加速器で開発された技術の社会生活への直接的な還元も重要だと認識しています」と述べ、研究の波及効果の重要性に言及しました。

会場からの「ヒッグス粒子はいつ頃見つかりそうなのですか?」という問いに対し鈴木機構長は、LHC実験の2つの測定器(ATLASとCMS)の結果を統合するには時間を要するが、12月頃には何らかの報告があるとしたうえで「私は、ヒッグス粒子はそんなに簡単では無いと思います」と、ヒッグス粒子の発見にはまだ時間が必要だとの見方を示しました。

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