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花咲かホルモン(フロリゲン)の受容体を発見、立体構造を明らかに

2011年8月11日

奈良先端科学技術大学院大学の島本功教授、田岡健一郎助教、大木出助教、辻寛之助教、大阪大学蛋白質研究所の児嶋長次郎准教授らは、花を咲かせる植物のホルモン「フロリゲン」の受容体を世界で初めて発見しました。

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フロリゲンが花形成遺伝子を活性するしくみ(模式図)
画像提供:奈良先端大/阪大

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フロリゲンとフロリゲン受容体の構造
画像提供:奈良先端大/阪大

花咲かホルモン(フロリゲン)は、植物が日長や気温などの環境の変化の刺激を受けて葉で作られ、その後に花を作る組織である茎の先端部に移動して花を咲かせるホルモンです。2007年、島本教授らによるフロリゲンの正体の発見に続き、今回、その受容体のタンパク質を世界で初めて発見しました。そしてフロリゲンと受容体を含む複合体の立体構造を、KEKフォトンファクトリーのBL-5A, 17A, NW12AおよびSPring-8を用いて解明し、フロリゲンが花を咲かせるしくみを解き明かしました。また、フロリゲンと受容体との結合強度を変えることにより、花を咲かせる時期を変化させることにも成功しました。この成果により、自在に植物の花を咲かせる技術の可能性が拓け、穀類や果実の増収や、バイオ燃料作物の生産技術への波及効果が期待できます。 この成果は、2011年8月1日に、英国の学術誌Natureにオンライン掲載されました。