2011年1月13日
加速器から作りだされる光の一種「放射光」を用いた研究や、放射光を作りだす加速器の開発の最前線が集う日本放射光学会の第24回年会が2011年1月7日から10日まで、つくば国際会議場で開催されました。1月9日には、これらの研究を広く知って頂くための市民公開講座が開催され、およそ200名の方にご来場いただきました。
この講座では「放射光で迫る 物質・生命の謎」をテーマに各分野から4名の講演がありました。講演者と講演タイトルは以下の通りです。
低炭素化を進めるための燃料電池用触媒の開発や、排気ガスを浄化する自動車触媒など、環境問題に向けた研究、タンパク質の立体構造に基づいた創薬の研究、そして放射光を作るための加速器開発について最前線で活躍する研究者から講義がありました。
「日本の生きる道は新しい効率的な"ものづくり"にあるんです。そのためには、絶対に放射光は不可欠なんです。」と力強く語った日本放射光学会会長の尾嶋氏の言葉に表されるように、この講演で出てきた自動車の排気ガスを浄化する触媒や、ガンや白血病の治療薬は既に利用され、私たちの生活の一部になっています。
参加者からはタンパク質の構造解明を、病気を治すということだけでなく、健康増進、病気予防のための研究に期待する声や超伝導に関する質問がありました。最後に尾嶋氏から「日本は科学技術立国でいくしかない。そのためには国民の科学リテラシー、理解度を上げることが重要で、我々科学者はもっと分かりやすく科学の面白さを伝えることが必要です。今日は生活に役立っている分かりやすい例がいくつも出ましたが、ぜひ皆さんにこれをきっかけにして放射光に興味を持ってもらい、温かい目で見ていただければ幸いです。」とメッセージが伝えられました。