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   image 物質構造を探る加速器 新生PF-AR運転再開    2002.1.24
 

うまれかわったPF-AR

加速器が作る物質構造を探る光は放射光と呼ばれます。放射光を生み出す加速器がKEKには二つあります。その一つのPF-AR (Photon Factory - Advanced Ring for Pulse X-rays) が約10ヶ月間の改造を終え、1月8日から運転を再開しました。1987年以来放射光を使った実験を進めてきた加速器・装置を性能アップし、実験棟の新設などを行い、高度な実験に対応する施設に再生したのです。
現在、順調に立ち上げ運転が行なわれています。

改造されたPF-ARリング
物質の動きもとらえる単バンチ・大電流の光

この加速器(PF-AR)が生み出す放射光の特徴は単バンチで大電流ということです。
単バンチ、聞きなれない言葉ですが、バンチというのは群れや集合のことです。通常、放射光は、電子の群れがいくつも(多バンチで)加速器内のリングをまわっている状態で運転され、光はほぼ連続でやってくるように見えます。しかし、この電子の群れを一つ(単バンチ)にまとめると、ある1点で光を見ていると電子の群れがリングを1周する間に1回だけ光るので、ストロボのように、変化をしている物質などの一瞬一瞬を切り取ることができます。これが単バンチです。
またこのストロボの光は、1発で物質の構造を捉えるのに十分な強度がなければなりません。これが大電流という特徴です。

「変化をしている物質」を「跳ぶカエル」にたとえて考えてみましょう。今までの放射光では、跳ぼうとしているカエル、今まさに跳んでいるカエル、跳び終わったカエルなど、さまざまな状態のカエルを一緒にして見ていたことになりますが、単バンチを使えば、それぞれの状態を別々に捉えることができるようになります。
また、ストロボの光を一瞬だけ試料にあてて、その反応を見ることによって試料の状態を知るような実験も単バンチによって初めて可能になります。

単バンチ専用の放射光リングは世界でも初めてであり、KEKでしかできないユニークな研究がこれから行なわれるようになるでしょう。



※もっと詳しい情報をお知りになりたい方へ

→PF-AR放射光高度化計画
http://pfwww.kek.jp/outline/ar-upgd/index.html

 
 
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