素粒子物理学の理論的研究でノーベル物理学賞を受賞したボストン大学のシェルドン・リー・グラショウ教授が3月6日にKEKを訪問しました。KEKでは機構内の主要研究施設であるKEKB加速器、BELLE測定器、K2Kニュートリノ振動実験関係施設、PF放射光実験施設などを精力的に見学して回りました。理論物理学者であるグラショウ教授を案内する人々の熱気も感じられる現場訪問となりました。
グラショウ教授は施設見学の後、研究機構コロキュウムと呼ばれているKEKの研究者の集まりで、「素粒子と宇宙」と題した講演を行いました。講演では、素粒子と宇宙の統一へ向かっている現代の素粒子論や宇宙論の話題、このような基礎科学が今やお金がかかる巨大施設を必要としているが、それが我々にとって何故必要な研究かなど、一般の研究者ならずとも大変興味をもっている話題も取り上げられました。
グラショウ教授は「中性カレントの予言、電磁相互作用と弱い相互作用の統一理論への寄与」に関する理論的研究により、アブダス・サラム教授、スティーブン・ワインバーグ教授らと共に1979年度のノーベル物理学賞を受賞しています。素粒子物理学の理論の発展を長年現場で見てきたグラショウ教授が素粒子論の現状をどう見ているのか、今後の発展をどう考えているのか、KEKの研究者からの質疑応答も交え、この講演会は大変印象深いものになりました。
今回の教授の来日にあたっては、KEK以外にも京都大学基礎物理学研究所でもセミナーを行うなど日本の著名な科学者との懇談などが行われました。