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KEKでコンサート 2006.3.30 |
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〜 研究所での音楽の愉しみ 〜 |
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高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、年に数回、プロの演奏家をお招きして音楽コンサートを開催しています。これは従来、職員や来訪研究者のための文化福祉活動の一つとして行われてきたものですが、平成15年度からは地域の方々との交流の促進のため、広く無料で公開しているものです。『KEKコンサート』と銘打ったこの行事は既に15回を数え、毎回200名程の聴衆の皆さんに、研究所ならではの独特の雰囲気と自由なスタイルの音楽会をお楽しみいただいています。 物理と音楽 物理学の研究所で音楽の演奏会?…と疑問に思われるかも知れませんが、物理と音楽とはもともと密接な関係にあります。 音楽は音という空気の振動を媒体としていますが、これを芸術にまで高めるにはピアノやヴァイオリンのような洗練された楽器を作り、作曲の技法を発展させ、それに見合う良い音響の音楽ホールを設計することが必要です。これには音程、音階、楽器の知識が欠かせませんが、これらを分析する音響学や、さらに広い物理学の知識があると、より深く「音」について考えることができます。 一方、物理の研究には音楽はまったく関係が無いように思えますが、物理の研究者には音楽を楽しむ人が多いことも知られています。2002年にノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊さんは少年の頃からのモーツァルト愛好家として知られていますし、昨年、世界物理年として顕彰されたアインシュタインはヴァイオリンの上手としても有名です。いずれの場合も物理の思索を深め、新しい着想を得るのに音楽が大きな助けとなったことが語り継がれています。 実際、物理の研究者にはクラシックやジャズの音楽が好きな人が多く、好きな音楽を聴いて楽しんだり、余暇に自ら演奏を楽しむ研究者もいます。ある研究者によれば「バッハの楽曲には数学的な調和と神秘があり、またドビュッシーの曲には繊細な音の響きの中に自然の美しさと移ろいが表現されている」といいます。研究者はこういった音楽の中に、深遠な宇宙や自然界の法則を「感じる」ことがあるのでしょう。 欧米の高エネルギー物理学の研究所では、定期的に音楽の演奏会が開催されています。特にスイスのヨーロッパ合同素粒子原子核研究機構(CERN)やドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)などで盛んですが、そのほかアメリカのフェルミ国立研究所(Fermilab)にはコンサートを含めた芸術活動を専門とする部局があり、さまざまな演奏会や展覧会を企画開催しています。 日本の物理学研究所での定期的な音楽会の開催はKEKが初めてですが、世界の高エネルギー物理の研究所に共通した「文化や研ぎ澄まされた感性を大切にする」という、使命感や開放性の現れなのかも知れません。 多様でユニークなコンサート KEKコンサートのシリーズは当初、「レクチャーコンサート」として、演奏の合間に楽曲の解説を組み込んだ演奏会の形態で始まりました。現在では演奏のみの純粋なコンサートや、音楽史や楽器の解説に重きを持つもの、楽しい会話と音楽を織り交ぜたセッション、さらにはSPレコードによるコンサートなど、さまざまなタイプの演奏会を開催しています。 音楽のジャンルも多様で、最も多いクラシック音楽の分野ではバロックから印象派、現代曲まで広汎にわたっており、ハープシコード音楽の歴史を演奏で辿ったり、モーツァルトのフーガ技法に焦点を当てる演奏会なども行っています。これらに加えて、日本の童謡や唱歌、篠笛(しのぶえ)といった純邦楽、箏(こと)とギターが融合した新しい試みのリサイタルも開催しており、全体として、KEKコンサートは他の音楽コンサートでは見られないユニークなコンサートシリーズとなっていると言えるでしょう。 KEKコンサートでは質の高い演奏会の実現のため、出演者には国内外で第一線で活躍する演奏家をお招きしたり、また有望な新人演奏家を開拓することにしており、今後もさらに充実した種々のコンサートを企画したいと考えています。平成18年度のコンサートの予定は以下のとおりです。皆様のKEKコンサートへのお越しをお待ちしています。
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