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放射光で結ぶ地域協力 2007.1.18 |
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〜 アジア−オセアニア放射光フォーラム 〜 |
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大型加速器施設は、世界にその数が限られるため、その利用は研究者の国際交流を伴う共同利用の形態をとります。それぞれの施設が特色ある加速器や測定装置を運用しており、研究者は、自分の研究に最も適した場所に、国境を越えて出かけていくのです。そうした研究者の交流を円滑に進めるために、加速器科学の各分野には、様々な協力枠組みが存在します。そのうちの放射光科学分野では、昨年11月、新しい協力体制である「アジア−オセアニア放射光フォーラム(Asia-Oceania Forum for Synchrotron Radiation Research (略称AOFSRR))」がスタートしました。 Asian ForumからAOFSRRへ AOFSRRは、放射光科学分野におけるアジア−オセアニア地域の科学技術提携を、系統的かつ建設的に行っていくことを目的とした協力枠組みです。これは、前身であるAsian Forumをより発展させたものです。1996年にスタートしたAsian Forumは、アジア地域の放射光施設間の情報交流を目的としたものでした。 アジア−オセアニア地域の放射光事情 現在、アジア−オセアニア地域では、日本、韓国、中国、台湾など放射光研究の拠点となる施設があり、タイ、シンガポールなどには技術交流の結果、施設が整備されつつあります。また、インドでも独自開発の施設が稼動しています。特に、上海とオーストラリアでは(※)第3世代の放射光施設が建設中で、将来のアジア−オセアニア地域の研究拠点のひとつとなることが期待されています。更に日本では、SPring-8のX-FEL(X線自由電子レーザー)計画がこの春から進行中であり、KEKのERL(エネルギー回収型リニアック)計画についても議論や研究開発が進んでいます。(図1)
地域の連携を強化する これらアジア−オセアニア地域の放射光施設とそこに集う人材、及び集積された知識・技術を有機的に連携させ、更なる研究成果の創出に地域全体として取り組んで行こうというのが、今回のAOFSRR発足の狙いです。発足にあたっては、特に以下の点が強調されました。 (1)施設ベースからサイエンスベースの交流へ (2)定期的な科学的会合の開催 (3)「アジア」から「アジア−オセアニア」へ (4)組織としての機能を確立するための事務局の設置 動き出した新しい枠組み 昨年11月24〜25日に、KEKにおいて、AOFSRRの第1回目のワークショップが開催されました(図2)。アジア−オセアニア地域で放射光研究に取り組む7つの国と地域の機関から127名が参加し(図4)、各地域での施設の現状・高度化計画や新光源の提案、研究成果の報告・意見交換が活発に行われました。また、アジア展開に関心を示す国内外11の企業による展示があったことも、今回の特徴のひとつでした。 また、この会期中にAOFSRRの第1回総会が開かれ、各国の代表者により、AOFSRR設立の趣旨に沿って協力関係を築いていくための覚書が締結されました(図3)。更には、定款(constitution)も定められ、AOFSRRを実施していくための体制が整えられました。 第2回目のワークショップは、2007年11月に台湾で開催されます。今後、AOFSRRは、その枠組みを通して、地域内各機関間の放射光研究交流の推進役を担っていきます。また、アジア−オセアニア地域での協力関係の充実とともに、米・欧などの研究機関との連携促進も視野に入れた取り組みを進めて行きます。放射光科学分野の更なるダイナミックな展開にご期待下さい。
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