オーストラリアのV.ジェームス博士(サウスウェールズ大学)らの研究グループは、放射光X線を用いて毛髪による乳がん検診が出来る可能性があることを科学雑誌、ネイチャー(3月4日号)に報告しました。
博士らの研究グループは、本研究所機構の放射光研究施設で放射光X線を用いたX線小角散乱という手法を用いて乳がんと診断された人および正常な人の毛髪を分析したところ、乳がんと診断された人の毛髪からのX線散乱パターンは正常な人と異なるパターンを示すことを発見しました。この相関を確認するためにより多くの試料をテストしたところ、この異常なパターンは乳がんと診断されたすべての人(23人)で見られました。また、まだ乳がんと診断されていないが、家族歴および乳がんの原因の一つと考えられている突然変異遺伝子を持つことから乳がんになる危険性が高いと考えられる5人のうちの3人にも同様の変化が見られ、他の2人にも部分的な変化が見られました。これらのことから、博士らはこの方法が被験者に苦痛を与えない簡便な乳がん検診の手法に使えるのではないかと考えています。
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