電子・陽電子の発生・加速・入射

  電子の発生
電子は熱電子を利用している。この熱電子は、テレビのブラウン管などでもおなじみである。カソードの大きさは、直径で17ミリメートルもありかなり大きい。ここから得られる電子を200キロボルトの電圧で予備加速する。
  電子の加速
熱カソードから発生し、200キロボルトで予備加速された電子は、2,856メガヘルツのマイクロ波で加速される。リニアックは全長約600メートルあり、この間で、最高80億電子ボルトまで加速する。この時の電子の速さは、光の速度の99.9999998%になる。
 

アーク部

加速部
  陽電子の発生
高エネルギーの電子を重金属に打ち込むと内部で効率よくガンマ線が発生し、更にそのガンマ線から対生成により、電子とその反粒子である陽電子が発生する。電子と陽電子は電荷が逆なので、容易に分離でき、陽電子のみを選択的に加速することができる。ここでは約40億電子ボルトに加速された電子をタングステンのターゲットに衝突させ、対生成で陽電子を発生させる。このとき発生する陽電子のうち、エネルギーが1,000万電子ボルト近辺のものを再びリニアックで加速して、35億電子ボルトの陽電子を得ている。
  各リングへの入射
入射に必要な電子と陽電子のエネルギーはリングごとに決まっている。KEKBでは、電子は80億電子ボルト、陽電子は35億電子ボルトである。放射光科学研究施設の電子陽電子ストレージリングでは、電子陽電子ともに25億電子ボルトである。
 

陽電子発生ターゲット近傍

ビームスイッチャード
 

 
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