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vol.2 東京ニュークリア・サービス株式会社

 代表取締役社長 天野 晋 様,   取締役 小梨 朝倫 様


東京ニュークリア・サービス株式会社殿には、2018年度から多大なるご支援を頂いており、特別貢献会員の称号を贈呈させていただくとともに、KEKのシンボルとなっています「小林ホール」(小林誠KEK特別栄誉教授のノーベル物理学賞受賞を記念して、研究本館に設置)のエントランスに銘板を掲示させていただいております。同社は放射線利用を進めるうえで大前提となる安全をサポートする企業として高い実績を有されています。今回は東日本大震災時に心配が多かった飲食物などに含まれる放射能の測定も行われた同社「つくば開発センター」で、KEKとの関わりだけでなく、設立や技術など天野社長、小梨取締役から幅広くお話を伺いました。


写真/神谷機構理事(左)、機構長(中央左)、天野社長(中央右)、小梨取締役(右)



原子力、放射線の安全な利用のベストパートナーを目指して 



KEK 現在につながる貴社とKEKとの仕事の原点、関わりについてお聞かせください。

天野社長  昭和62年頃、KEKでは放射光の、共同利用が進められ、トリスタン実験*1 が始まった頃で、海外も含め多くの研究者が訪れ、職員の方々も研究で忙しくなり、また、様々な業者の出入りも多くなっていました。当時は、放射線管理計測や、区域内に入る人の管理方法が定型化されておらず、KEKの職員の増員ができない中で「安全を確保しながら合理的に管理することを外注で出来ないか」という意見を現場の先生方からいただきました。
加速器は基本的には電源を切れば放射線は発生しませんが、立ち入り禁止範囲など細かい対応が多く、そこを区分し、パターン化することを検討しました。最初は先生方にご迷惑をかけながらでしたが、1年半かけて基本設計・業務設計を行い、KEKとの取引が始まりました。

KEK 多くの方が利用する大型加速器施設ということで、対応に特別な課題はありましたか。

天野社長 「施設を有する側の責任」と、「雇用主としての責任」とが、重層的になった場合、責任の所在が全く不明確なので、その点は十分議論しました。その結果、KEKの施設に出入りする利用者の教育を行うこととなりました。


KEK 貴社はKEKと同じ2021年が創設50周年と伺っています。当時は研究や発電用の原子炉の運転や計画が進んでおり、また、放射性同位元素の利用も急増し始めている頃だったとも思いますが、貴社の設立や業務についてお聞かせください

天野社長 設立者自身が日本原子力研究所の初期メンバーで、事務方、エンジニア、電力会社から来られた方、そういった意を同じくする者が集まり当社を設立しました。 同じ頃、日本アイソトープ協会が改称され、科学技術の進歩や産業経済の振興のため放射性物質を供給して研究の場で活用してもらおうと、各大学に出向いて「放射性物質を実験に使いませんか」と勧めたところ、「その有効性はわかるが管理も一緒にしてほしい」という要望がありました。 当初、現場における放射線管理、安全評価、特殊機械などの迅速な提供の必要性を痛感し、放射線管理計測を代行する会社があればより広く放射線を利用した研究が進むであろうと、放射線管理区域での専門的技術サービスをコンセプトに、昭和46年、東京ニュークリア・サービス株式会社を設立しました。東京からスタートして、同時に日本の原子力のメッカと言われていた東海村でも営業所を開設しました。東京と東海村が発祥の地となります。




KEK 原子力、放射線利用の拡大の頃から事業を始められて、放射線計測やサービスなど様々なサービスを提供されていますが、アピールポイントをお聞かせください。

天野社長 大それたことはできませんが、迅速に物事を進め、法律上の対応や、放射線を測定する技術、放射性廃棄物の分別、大企業が動きづらい小規模の補修など一定規模の業務をワンストップで小回りを効かせて行えるところが当社の強みと思っています。発注者側は、法律上の解釈や環境への影響、個人の被ばくなどについて心配があります。この問題を当社が可視化し、事前に状況をご説明することで、お客様が求めてきたリスク評価の対応でお役に立っていると思っています。

小梨取締役 現在、社会では「持続可能性」という言葉が注目されています。こういう中で原子力は、エネルギー、環境といった点において重要な役割を果たしていくものと考えています。原子力を生業とする当社も、持続可能な社会を目指し、微力ですが頑張って続けていきたいと考えています。


KEK 業務以外にも放射線計測の関係で色々な学会活動にもご協力いただいていますが、貴社の技術を生かした活動についてお聞かせください。

天野社長 放射線管理学会に当社も民間企業として参加しております。そこで、現場における様々な問題提起をお伺いすることで、課題を認識するのに非常に役に立っています。 また、青森県様が開設された青森県量子科学センターの指定管理者として、㈱青森原燃テクノロジーセンターと共同で運営管理しています。センターでは、原子力安全・防災、放射線管理等の専門的知見を有する人材の養成や加速器や動物用PET/MRI等を活用した放射線利用の医学・工学の応用、先進放射線計測技術の開発などが行われています。

KEK 日本の原子力開発の長い歴史の中、今後は加速器の廃止、解体撤去なども課題になります。貴社には豊富なご経験と実力があると思いますが、そういった面ではいかがでしょうか。

天野社長 残念ですが放射線を利用する施設を廃止するということをよく耳にします。一つの要因は技術の進展により放射性物質を使わずに済むということ。また、光や電磁波などを利用することで代行できているものもあります。しかし、研究や医学、工学の利用などで必要不可欠な道具でありますので、利用は続きます。廃止措置に関しては、低コストで合理的に進めていきたいと考えます。昨今、新設の際には廃止までの期間、どのくらいの汚染物が発生するのか提起しなければいけません。当社では、放射化の問題は知見を得ていますので、合理的に推定し廃棄物の事前管理ができます。難しい問題ですが、最終的に処理処分するプロセスの中で、低コストで合理的に技術要素を組み合わせてご提供をできるよう努力をしています。




KEK 貴社とは長くお付き合いさせていただいていますが、今後KEKへの期待や要望などはございますか。

天野社長  技術的な面に関しましては、多種多様な研究テーマを抱えたKEKにおける最先端の大型加速器研究施設での、安全評価、大型加速器の解体撤去、廃棄物処理でのプロセスなど、加速器に関する全ての問題を当社に経験させていただくことは非常に有用です。最先端の大型加速器研究施設で放射線管理計測、放射線の取り扱いを外注化する先駆的な場と見ております。 例えば、製薬会社ですと放射性物質を管理することが事業ではなく、付帯的な業務です。付帯的な業務を代行することで、管理者の負担が減ります。KEKは日本を代表する大型加速器研究施設であり、これから様々な施設や利用形態が発展する中で、スタンダードとなりますので先駆的に民間を積極的に活用して頂くことで、放射線管理の外注化が最大限に具体化されると思っています。 また、当社の企業としての独自性を特徴づけている放射線管理業務に対して、より多くの課題を提起、ご指導していただければ幸いです。

KEK KEKの研究では放射線とは切っても切れない関係です。企業のご協力のもと、安全管理の高度化を進めたいと思います。

本日は、創業や放射線安全管理に対するお考えなどお話し頂きありがとうございました。




2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故直後、食品、飲料(水を含む)や土壌など、放射能・放射線測定の対応のため、直ちにいわきの駅前に事業所を設置し、現場での支援をされていた当時のお話も伺いました。福島県住民の不安と混乱の中、様々な相談を受けながら、正確な計測とデータの開示をされたそうです。現地以外でも、関東には放射線汚染スポット地域があり、モニタリングもされていました。目に見えない放射線を可視化し安心できる材料を提示してくださいました。
また、廃棄処理問題についても低コストで合理的に処理処分できる技術要素の取り組みを常にお考えであるという天野社長の熱意が伺えました。最先端の大型加速器研究施設における維持管理について起こりうる様々な課題を、KEKとともに今後もパートナーとしてご支援をいただけることに改めて感謝いたします。
本日は、KEKと長い歴史を共に歩んできた当時の様子や、ご趣味の運動の話に至るまで様々なお話を伺うことができ、とても和やかな雰囲気のもとインタビューを終えました。


*1 1980年代初頭から90年代中頃まで実施された、当時の世界最高エネルギーを出す加速器により新しい粒子や現象の発見を目指したものです。この実験はその後のKEKB、スーパーKEKB に発展しています。


東京ニュークリア・サービス株式会社

【本社】
〒110-0016 東京都台東区台東1丁目3番5号 反町ビル7階
TEL: 03-3831-7957 FAX: 03-3831-7950

※新型コロナウィルスへの対応のため、3月26日より当面の間、本社機能をつくば開発センターに移転。

【つくば開発センター】
〒300-2646 茨城県つくば市緑ヶ原4丁目19番地2
TEL: 029-847-5521 FAX: 029-847-9102





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