秋の実習について

課題一覧

M01「意外と身近な物質“ソフトマター”のナノ構造観察」(BL-11D)

放射光実験では、軟X線の反射率測定による薄膜の構造評価を行う。これは、表面で反射したX線の干渉を利用した測定法だが、特に軟X線を利用することで窒素などの元素を特異的に区別することができる。当日の演習では、実際の測定とデータ解析を行う予定である。

M02「超高圧力が切り開く極限の世界」(AR-NE1A)

秋に行う放射光実験は沃化第2水銀(HgI2)を試料に用います。これは比較的低い圧力で幾つかの状態(相)に変化することが肉眼でも観察されることから選びましたが、この高圧相の結晶構造は今年になってPFの放射光実験で決定することに成功したばかりです。この試料をDACで加圧することによりどの様な変化が起こるか、先ず顕微鏡とラマン分光測定によって調べます。次にその変化がどの様な内部構造の変化によってもたらされたのかを、実際に放射光を試料に照射し得られた回折像を解析することで調べます。

M03「タンパク質の形を見てみよう」(AR-NW12A)

夏の実習では、加速器が運転しておらずX線が利用できないため、X線回折データの処理から構造解析にかけては、既に測定したデータを用いて実習を行った。秋の実習では、実際に加速器から発生するX線を用いて、夏の実習中に自身が作成したタンパク質結晶から回折データ収集を行い、構造解析を行う。

M04「放射光を測る ~検出器のしくみとX線検出の実際~」(BL-14A)

実習で製作したX線検出器の性能評価を放射光X線ビームを使って実施する。実施場所はBL-14A、エネルギースペクトル測定、計数率測定を予定している。

M05「質量分析器を組み立ててみよう」(BL-20A)

放射光を用いて、原子・分子の光電離過程により生じるイオンを、質量分析器により測定する。放射光から得られる光は、波長を変えて取り出すことができる。そこで、原子・分子に照射する波長を変えて、光電離過程を調べる。そして、夏の実習で行なう電子衝撃による電離過程と比較する。

M06「作って調べる光触媒~酸化チタンの表面をのぞいてみよう~」
(BL-7A)

酸化チタンに窒素をドープすると可視光を吸収できるようになるため、太陽光を効率よく利用できるものと期待されている。本実習では、PFのビームラインから得られる大強度・高分解能の軟X線を用いて、窒素ドープ酸化チタン光触媒の光電子分光測定を行い、精密な解析を行う。また、放射光のエネルギー可変性をいかして軟X線吸収分光を行い、試料の電子状態や構造をより詳しく調べる予定である。

M07「X線イメージングって何だろう?」(BL-14C)

実験では、X線のエネルギーや液体試料の濃度を変えた時の画像コントラストの変化などを計測し、放射光X線を用いた吸収コントラストイメージング法に関する原理を総合的に学ぶ。また、夏の実習で作成したCT測定システムと解析プログラムを用いて放射光X線CTの測定およびデータ解析を行う。